Comment:
エイリアンと戦うリプリーの運命。
デヴィッド・フィンチャー監督の長編映画デビュー作は「エイリアン」シリーズの第3弾です。
1作目はリドリー・スコット監督。
2作目はジェームズ・キャメロン監督。
2人の大御所の後を引き継いだ破格の待遇、しかも、人気シリーズの続編という大役。
映画監督としては未知数でもフィンチャー監督の才能を誰もが認めていた証拠なのでしょうか?
それとも、「この2人の続編はできない。」と他の監督たちがキャンセルしたからなのでしょうか?
どちらにしろ、映画監督としての知名度が無かったフィンチャー監督にとっては願ってもないチャンスだったのかもしれませんね。
でも、この作品。興行的には失敗に終わったそうで・・・(^_^;
1作目は誰に寄生しているのか判らない恐怖がサスペンスにも似たスリルを味あわせ、2作目は力強さと母性の二面性を描いたエンターテインメント・アクション大作として興奮させてくれました。
しかし、この作品は終末へのプレリュード・・・「終末論」、「精神論」をテーマにしたことで重苦しくなってしまいましたね。
主人公である最強のヒロイン、エレン・リプリー。前作までの彼女は絶望的な状況でも「生きる」ことを行動でみせてくれました。
しかし、この作品の彼女は「死」を望むようになってしまいます。この辺りにも前作までにない重苦しさがあるのかもしれませんね。
まぁ、あのようになってしまっては仕方の無いことなのですが・・・(^_^;
あと、エイリアンも変わりましたね。前作から一転、1作目と同じく1体のエイリアンのみを登場させて、エイリアン一個体の恐怖を高めています。
さらに、今回は「新生」ということで、今までのエイリアンと身体的特徴にも変化が・・・。エイリアンの生みの親であるH・R・ギーガーの感性が怖いです。
新生エイリアンの誕生シーンは、ニュートたちの火葬のシーンと交錯させて「生」と「死」を象徴しているかのようでしたね。
新生エイリアンと対決するリプリーと囚人たち。武器が1つもないという未だかつてない絶望的な状況の中で、彼らは生き残ることができるのか・・・。
重々しい雰囲気のセットの中、照明を薄暗くして映し出す映像はフィンチャー監督ならではですね。あと、新生エイリアンの動きをカメラのみで表現するのも前作までなかった描き方だったように思います。
リプリー演じるシガーニー・ウィーヴァーも坊主頭で熱演です。
リプリーが顔を背けたところにエイリアンが首元に迫るシーン。
囚人たちのリーダーであるディロンに「私を殺して。」と告白するシーン。
そして、衝撃のクライマックス。
印象に残る名シーンが各所に散りばめられ見応えも十分です。
・・・このレビューを書いていて気付きましたが、どうやら私・・・この作品を結構気に入っているみたいです(^_^;
1作目、特に2作目と同じように観てしまうとガッカリしてしまうのかもしれませんね。
同じ題材を使っているのに、監督によってこんなにも作品のイメージが変わるのかと・・・それも「エイリアン」シリーズの楽しみ方の1つなのかもしれませんね。
4作目のジャン=ピエール・ジュネ監督の作品を観ると、その違いに驚くばかりです・・・あれはキモかった(^_^;
Title:
ALIEN3
Country:
USA (1992)
Cast:
(Ellen Ripley)SIGOURNEY WEAVER
(Dillon)CHARLES S. DUTTON
(Clemens)CHARLES DANCE
(Golic)PAUL McGANN
(Andrews)BRIAN GLOVER
(Aaron)RALPH BROWN
(Morse)DANNY WEBB
(David)PETE POSTLETHWAITE
(Bishop II)LANCE HENRIKSEN
Director:
DAVID FINCHER
