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アメリカへ亡命しようとする男女のラブ・ロマンス。
その年のアカデミー賞主要3部門を受賞したマイケル・カーティス監督の作品です。
第二次世界大戦。ドイツの侵略がヨーロッパ各国に広がり人々は渡米します。しかし、渡米するにはスペインのリスボンへ向わなければなりません・・・亡命者たちには苦難の道のりでした。
そこで亡命者たちは迂回してフランス領であるモロッコ・・・カサブランカからリスボンへ向かおうとします。
しかし、それには通行証が必要でした。裕福層のみが賄賂やコネを使い通行証を手に入れ、自由の国へ旅立つことが許されていました。
そんなカサブランカで起きる1つのロマンス。
カサブランカで酒場を経営するリック。店に戻ると、聴こえてくる思い出のナンバー。
「時の過ぎゆくままに」
信頼するピアニストのサムに「その曲は禁止と言ったはずだ。」と注意すると、席には思い出の女性イルザがいたのです。
パリでサムの「時の過ぎゆくままに」を聴きながら恋に落ちた2人・・・ドイツ軍の侵攻の知らせを聞き、逃亡することを決めた2人・・・しかし、駅で待つリックの前にイルザは現れませんでした。
イルザはナチスの収容所から脱出した地下組織のリーダーであるラズロに付き添っていました。ラズロとイルザは亡命するためにカサブランカへやって来ましたが、シュトラッサー少佐とルノー署長がラズロの逮捕を企てています。
リック、イルザ、ラズノの恋の行方と運命はいかに・・・。
「ハァ~。カッコ良いなぁ。」
この作品の感想です(^_^;
リックとラズロは男としての器が大きいですね。弱き者を助け、愛する者のために犠牲になる。特にリックは、何ら見返りを求めず、素知らぬ振りをして弱き者を助けるところなどカッコ良過ぎます。
ラズロもリックとイルザの真実を知っても、荒れたりしないところが男としてできてますよねぇ。普通の作品なら殴り合いの喧嘩になる展開だったかも・・・。
そんな器の大きい男たちだからこそイルザのような美しい女性に愛されたのでしょうね。また、イルザも2人から愛されて幸せだったのではないでしょうか。
イルザの告白を聞く限り、この関係は二股ではないはず?ですよね。2人を愛するほど苦悩するイルザ・・・運命とは非情なものです。
リック役にはハンフリー・ボガート。硬派ですね。クラシック作品はキャプラ監督作品ばかり観てきたせいか、喜怒哀楽を表に出さない彼の演技が非常に新鮮に映ります。見た目だけでない内面からのカッコ良さを感じさせます。
イルザ役にはイングリッド・バーグマン。彼女も見た目はもとより、内面から溢れ出す感情を巧みに演じられる女優ですね。イルザと恋愛観も似ているのでしょうか。プライベートの彼女も波乱万丈ですね。
ラスト。
この作品を調べると、戦争によって思うように撮影が進まなかったそうで、脚本が撮影に入っても間に合わず、途中まで書きあげたらそこだけ撮るという流れ作業的な手法を用いていたそうです。
でも、それが功を奏したのでしょうか。ラストまで、どのように終わるのか判らない良い緊張感がありました。
ラストは思わぬ伏兵が主役を奪い取りますが、「弱き者を助ける」リックの真の姿を目の当たりにした彼だからこその判断だったのでしょうね。
男性は「男の器」や「友情」に憧れ、女性は「愛するが故の苦悩」に思いをめぐらせる・・・秀作です。
Title:
CASABLANCA
Country:
USA (1942)
Cast:
(Rick Blaine)HUMPHREY BOGART
(Ilsa Lund)INGRID BERGMAN
(Victor Laszlo)PAUL HENREID
(Captain Renault)CLAUDE RAINS
(Major Strasser)CONRAD VEIDT
(Signor Ferrari)SYDNEY GREENSTREET
(Ugarte)PETER LORRE
(Sam)DOOLEY WILSON
Director:
MICHAEL CURTIZ
Awards:
Academy Awards, USA 1942
(Oscar(Best Director))MICHAEL CURTIZ
(Oscar(Best Picture))
(Oscar(Best Writing, Screenplay))JULIUS J. EPSTEIN
(Oscar(Best Writing, Screenplay))PHILIP G. EPSTEIN
(Oscar(Best Writing, Screenplay))HOWARD KOCH
