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南米の奥地で繰り広げられるイエズス会の宣教師たちの戦い。
その年のカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞したローランド・ジョフィ監督の作品です。
ほとんどのシーンがロケ撮影であろう壮大な自然と先住民であるグァラニー族たちとの交流。さながらドキュメント番組を観ているかのようです。
衝撃のシーンはいきなりオープニングから始まりました。
十字架に縛られ激流に流される宣教師。
そのまま大滝へと落ちていきます。
このシーンでは震えが止まりませんでした。これから起きるであろう宣教師たちの過酷な運命を象徴しているかのようです。
舞台は1750年代の南米大陸の奥地。その後、亡くなった宣教師の代わりにグァラニー族へと布教するガブリエル神父と先住民を人身売買する男ロドリゴ・メンドーサのそれぞれの戦いを追っていきます。
ガブリエルにとって信仰とは「愛」でした。おそらくこの作品に登場する宣教師たちの中で、最もキリスト教の教えに従順であり、信仰を貫き通した男なのでしょうね。
ロドリゴにとって信仰とは「力」でした。その力は「人を制する力」ではなく「人を守る力」だったのでしょう。
同じ神を信じても、何を拠り所にするのかは人それぞれ異なるのでしょうね。
2人の信仰を貫き通す姿がクライマックスで克明に描かれ胸に突き刺さります。
ガブリエル役にはジェレミー・アイアンズ。ガブリエルの苦悩と絶望を演じたクライマックスのシーンが印象に残ります。
ロドリゴ役にはロバート・デ・ニーロ。「感情の起伏が激しい男がいかにして自分の罪を償い信仰となる「力」を得るのか」という非常に難しい役柄ですが、彼らしい狂気も孕んだ圧倒的な存在感で見事に演じています。
他にも宣教師役にリーアム・ニーソンも出演しているのですが、ほとんど脇役状態でしたね。グァラニー族の男たちとの背の高さの違いばかりに気をとられてしまいます・・・彼らの舟に窮屈そうに乗る彼が不憫でした(^_^;
ラスト。
異文化、他民族との交流は決して悪いことではないのですが、結局、グァラニー族にとっては不幸を招きいれたことになってしまったのでしょうか。
グァラニー族の少女が見た凄惨な光景。
信じた神にも見捨てられた部族。
それでも、少女が手にしたものは・・・。
少女は救いを求め信じるものより、安らぎを与えてくれるものを手にしたのかもしれませんね。
エンドロールに流れるエンニオ・モリコーネの曲が異文化交流を象徴しています。
事実を基にしたこの作品・・・長い年月を数時間で描いてもその残酷さが伝わってきました。
Title:
THE MISSION
Country:
UK (1986)
Cast:
(Rodrigo Mendoza)ROBERT DE NIRO
(Father Gabriel)JEREMY IRONS
(Altamirano)RAY McANALLY
(Felipe Mendoza)AIDAN QUINN
(Carlotta)CHERIE LUNGHI
(Hontar)RONALD PICKUP
(Cabeza)CHUCK LOW
(Fielding)LIAM NEESON
Director:
ROLAND JOFFÉ
Awards:
Academy Awards, USA 1987
(Oscar(Best Cinematography))CHRIS MENGES
Cannes Film Festival 1986
(Golden Palm)ROLAND JOFFÉ
(Technical Grand Prize)ROLAND JOFFÉ
Golden Globes, USA 1987
(Golden Globe(Best Original Score - Motion Picture))ENNIO MORRICONE
(Golden Globe(Best Screenplay - Motion Picture))ROBERT BOLT
Los Angeles Film Critics Association Awards 1986
(LAFCA Award(Best Cinematography))CHRIS MENGES
