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暗殺組織に入ることになった青年の運命を描くアクション。
これはもうSFの世界ですね。通常のアクションに特殊効果を加えたビジュアルが圧巻でした。
顧客管理担当として働いているごく普通の青年ウェスリー・ギブソン。しかし、自分の現状、そしてこれから・・・。最近、すべてがどうでもよいと思っている無気力な生活を過ごしていました。
その苦悩を和らげるべくドラッグストアでパニック障害を抑える薬を購入していると、その隣りで見知らぬ女性が語りかけてきます。
「父を知っている。」
「昨日、メトロポリタンビルの屋上で亡くなった。」
「凄腕の暗殺者だったのよ。」
「父は産まれてすぐ家を出た。」と聞かされていたウェスリーは何の事だかわかりません。さらに、考える暇もなく、
「あの男が殺した。」
と女性は銃を構え、隠れていた男性と銃撃戦に・・・。
このときからウェスリーの人生が変わりはじめます・・・。
この後、繰り広げられるガンアクションからカーチェイスまでが息を呑むほどのスリルがありましたね。
ウェスリーを連れて逃げる女性フォックスを演じるのはアンジェリーナ・ジョリー。彼女の華麗なアクションが堪能できます。やっぱり華がありますよね。
しかし、パトカーのバリケードが目の前に・・・どう切り抜けるのかと思ったら・・・あ、ありえねーーーってな展開です(^_^;
ウェスリーの「す・み・ま・せ・ん」も笑えます。
フォックスは「フラタニティ」と呼ばれる暗殺者で、大量のアドレナリンを放出することで尋常でない速度に身体が対応できるという特殊人間でした。敵対する男性クロスも「フラタニティ」で、最強の「フラタニティ」であったウェスリーの父ミスターXを倒し、そして今、その血を受け継ぐウェスリーにも魔の手を・・・。
ウェスリー役にはジェームズ・マカヴォイ。無気力な男から暗殺者へ。その表情の移り変わりを見事に演じています。
「フラタニティ」のリーダーであるスローン役にはモーガン・フリーマン。貫禄の演技です。
ウェスリーは父の仇を討つべく、彼らの協力のもと「フラタニティ」となる決意をするのですが・・・。
奇抜な設定。
迫力のアクション。
魅力あるキャスト。
どれも申し分ないのに、何かモヤモヤした感が拭い切ることができませんでした(^_^;
思うに、脚本が難ありだと・・・。
命。
人生。
家族。
正義。
勇気。
伝えたいテーマが多すぎて、どれも説得力に欠けてしまったような気がしました。
初仕事でターゲットを殺し損ねたウェスリーにフォックスが言います。
「1人を殺すことで1000人が救われる・・・。」
でも、後半で電車が大事故を起こす原因を作ったのはフォックスなんですよねぇ。あれじゃあ、「1人を殺すために1000人を殺すべき。」と言っているようなものなのでは・・・?
この作品で「命」や「正義」を伝えるべきではなかったですね。
おそらく、この作品で一番伝わるテーマは「勇気」でしょう。
自分が何のために生きているのか判らなかったウェスリーは、自分の存在価値を見い出すため人生の岐路に立たされます。今までの無気力な人生を過ごすこともできれば、異なる人生を切り開くこともできる。
そのための一歩踏み出す「勇気」を、ウェスリーを通じて伝えたかったのかもしれませんね。
ラストのセリフがその問いかけだったのでしょう。
でも、まさかのどんでん返しもあり、娯楽作品として存分に楽しめる作品でした。
Title:
WANTED
Country:
USA/Germany (2008)
Cast:
(Wesley Gibson)JAMES McAVOY
(Sloan)MORGAN FREEMAN
(Fox)ANGELINA JOLIE
(Pekwarsky)TERENCE STAMP
(Cross)THOMAS KRETSCHMANN
Director:
TIMUR BEKMAMBETOV
