Comment:
映画の撮影が中断した役者とスタッフたちの日常と心理を描いたドラマ。
ヴィム・ヴァンダース監督が同年「ハメット」と同時進行で製作した作品です。舞台がポルトガルというのもヴェンダース監督作品ではめずらしいですね。
まず、オープニングでビックリしてしまいました。
ま、まさかヴェンダース監督がSF作品!?
どうなるのだろうと思っていたら・・・映画の撮影でしたか。でもこの作品、結構面白そうなんですよねぇ。映像も退廃的なイメージで独特の世界観を醸し出しています。
しかし、撮影監督?のジョーが監督のフリードリヒに「フィルムが底をついた。」と言います。さらに、製作費も底をつき撮影中止を余儀無くされてしまいます。
撮影現場は、ポルトガル最西端にあるシントラ海岸の解体途中のホテル。役者とスタッフはそのホテルでいつ再開されるか判らないまま休日を過ごすのですが・・・。
前半は、いかにもヴェンダース監督らしい展開です。
出演者のマークとアナはプライベートでは恋人同士。
同じく出演者のジョーンは1人、ヴァイオリンを弾いています。
地元スタッフのロバートは陽気に洗濯物を干したり、街へ散髪へ出かけたり・・・。
フリードリヒの妻ケイトは絵を描き、娘の2人は皆にちょっかいを出します。
それらが坦々と描かれていきますが、
ジョーの妻が急死しアメリカへ帰国。
さらに作家であるデニスの様子も何やらおかしい様子・・・。
このままでは撮影ができなくなるとフリードリヒは単身、アメリカへ戻り、撮影現場から逃亡したプロデューサーのゴードンに会いに行くのですが・・・。
後半からストーリーがガラリと変わります。
はたして、フリードリヒはゴードンに会えるのか・・・。
「物語があるから映画が作れるのではない。」
「人物と人物との空間で映画は作られる。それがリアリズムである。」
フリードリヒの主張がそのままヴェンダース監督の主張のようでした。
「物語は死の先ぶれさ。物語と共存できるのは死だけさ。」
ハリウッド映画を批判するかのような言葉ですね。
でも現在、頻繁に外国の作品をリメイクするハリウッド映画の「物語の枯渇」・・・あながち間違ってはいないのかもしれませんね。
ハリウッドが、この作品のラストシーンのようにならないことを・・・。
あっ!ちなみに、例のごとく、ヴェンダース監督がエキストラ出演しています。あれはヴェンダース・マニアでなければ判りませんね。
私?・・・まったく判りませんでした(T_T)
Title:
DER STAND DER DINGE
Country:
West Germany/Portugal/USA (1982)
Cast:
(Friedrich Munro)PATRICK BAUCHAU
(Anna)ISABELLE WEINGARTEN
(Kate)VIVA
(Joe)SAMUEL FULLER
(Joan)REBECCA PAULY
(Mark)JEFFREY KIME
(Dennis)PAUL GETTY JR.
(Robert)GEOFFREY CAREY
(Julia)CAMILA MORA-SCHEIHING
(Jane)ALEXANDRA AUDER
(Herbert)MONTY BANE
(Gordon)ALLEN GARFIELD
Director:
WIM WENDERS
Awards:
Venice Film Festival 1982
(Golden Lion)WIM WENDERS
