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近未来の地球に侵入した人造人間との戦いを描いたSFアクション。
リドリー・スコット監督によるSF映画の金字塔とも呼ばれている作品です。
21世紀初め。アメリカのタイレル社によって開発された「ネクサス6型レプリカント」は、すべての身体的性能が人間より勝り、頭脳も開発者と同等の知力を得た最新型人造人間でした。
しかし、レプリカントたちは地球外基地での奴隷労働として利用されるだけの存在・・・。いつしか、レプリカントたちは反旗を翻し、人間に反抗するようになります。
それに対し、人間は地球に侵入したレプリカントを処分するための特捜班を組織。その者たちを「ブレードランナー」と呼ぶようになります。
そして、2019年11月のロサンゼルス。男女それぞれ3体のネクサス6型レプリカントたちが地球に侵入してからストーリーが始まります。
科学力を結集した建造物。
屋台が立ち並ぶ多国籍な街。
そして、止まない雨・・・。
現在のロサンゼルスをまったく感じさせない陰湿な世界観を醸し出しています。今でこそ当然のように描かれる重厚なSFの世界観を80年代初めに確立したことが、この作品を高く評価する1つの要因なのでしょうね。
この作品がSF映画のターニングポイントであることは間違いないようです。
ストーリーもノワール調で世界観にピッタリでしたね。現役を退きながら、今でも一流と称されるブレードランナーであるデッカードは、刑事ガフに連れられ、ボスのブライアンにレプリカントの処分を命じられます。
ブライアンが「人」ではなく「匹」という単位を使ってレプリカントを数えるあたりに、この時代のレプリカントに対する嫌悪感が現れていますね。
人とまったく変わらないレプリカント。生き続ければ感情すらも得るとされているため、4年の寿命という安全装置も取り付けられています。
レプリカントの情報を得るためにデッカードは、タイレル社へレプリカントの頭脳を開発したタイレル博士に会いに行きます。そこで、デッカードは秘書レーチェルと出会い、レーチェルがレプリカントであることを見抜きます。しかし、自分がレプリカントであることをレーチェルは知りませんでした・・・。
レーチェルは既に感情を持っていたのでしょうね。人間なのか・・・レプリカントなのか・・・。その答えを求めるため、レーチェルはデッカードの家に訪れます。
一方、6人のレプリカントのボスであるロイ・バティーのもと、プリス、リオン、ゾーラらは、堅牢なタイレル社にいるタイレル博士に会うため、タイレルを知る他の技術者たちに接触を試みます。
しかし、彼らを追うデッカードによって、次々と殺されてしまいます。
それが、一方的に殺されてしまうんですよねぇ。何だか、ヒーローであるはずのデッカードが悪役に見えてしまいます。
この作品は、デッカードを主人公にしながら、悪役であるはずのレプリカントの悲劇もテーマにしています。彼らは人間として生まれたかったのでしょうか。それとも感情を持たない機械として生まれたかったのでしょうか。
機械を人間に近づけるための科学や医学は、倫理的な責任も考える必要があることを訴えているようでした。
それを象徴するかのようなロイの最期は、あまりに人間らしい最期でしたね。
デッカード役にはハリソン・フォード。彼が演じたからデッカードがかろうじてヒーローに見えました。
ロイ役にはルトガー・ハウアー。クライマックスでもあるロイの最期のシーンは迫真の演技でしたね。
他にも、レーチェル役のショーン・ヤングやプリス役のダリル・ハンナが強烈な個性で作品に華を添えています。
と、ここまで紹介しましたが、なんでもこの作品には5つのバージョンがあるそうで、いったい、私はどのバージョンを観たのか・・・さっぱり判りませんでした(^_^;
仕方ないので調べてみました。私が観たバージョンには、デッカードがユニコーンの夢を見るシーンがあったので、「ディレクターズ・カット版」を観たのかと思います。
そう、あのユニコーンの夢にはどういう意図があったのでしょう・・・。さらに、ラストシーンでデッカードが手にするユニコーンの折り紙・・・。あれは、ガフが作ったものだと推測できるのですが・・・。
ガフがデッカードに言います。
「彼女も惜しいですな、短い命とは。」
この彼女とはレーチェルのことですよね。これで、レーチェルはレプリカントだと確定したことになるのかな?
でも、ユニコーンの折り紙があったということは、デッカードより先にガフがレーチェルと会っていることにもなるのでしょうか?
その真意とは?
また、なぜデッカードとレーチェルが逃げる必要があったのでしょうか?
ガフの言葉からレーチェルが処分されると思ったのでしょうか?
さらに、6人のレプリカントもロイ、プリス、リオン、ゾーラ、そして、処分が確認された1人・・・。すると、もう1人は・・・となるのですが、これには、いろいろと憶測が飛び交っているようですね。
私も初めはデッカードが6人目なのでは?と思っていたのですが、最後まで観ると、無理があり過ぎるような気がしました。ここは素直に「処分が確認されたのは2人の間違い説」に一票です。
でも、プリスに脚で首を挟まれても抵抗できたデッカードの力も人間離れしていたと思うのですが・・・。6人目でなくてもレプリカントであるという説は間違いでもないのかも・・・。だから同類であるレーチェルに惹かれたのか・・・。
う~ん。判らないことだらけ・・・降参です(T_T)
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Title:
BLADE RUNNER
Country:
USA/Hong Kong (1982)
Cast:
(Rick Deckard)HARRISON FORD
(Roy Batty)RUTGER HAUER
(Rachael)SEAN YOUNG
(Gaff)EDWARD JAMES OLMOS
(Bryant)M. EMMET WALSH
(Pris)DARYL HANNAH
(J.F. Sebastian)WILLIAM SANDERSON
(Leon Kowalski)BRION JAMES
(Dr. Eldon Tyrell)JOE TURKEL
(Zhora)JOANNA CASSIDY
Director:
RIDLEY SCOTT
Awards:
Los Angeles Film Critics Association Awards 1982
(LAFCA Award(Best Cinematography))JORDAN CRONENWETH
