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1人の女性に2人の男が翻弄されるラブ・ストーリー。
まだ無名だった原作者アンリ=ピエール・ロシェの「ジュールとジム」をフランソワ・トリュフォー監督が惚れ込み、原作を忠実に描いたトリュフォー監督の長編第三作です。
1912年頃のパリ。外国人のジュールはジムと知り合い、芸術や文学、女性について語り合うほどの友人になります。真面目で優しいジュールには彼女がいませんでした。交友関係の広いジムはジムに女性を紹介するもなかなか進展しません。
そんなある日、芸術仲間の家で観た美しい石造の女性に魅入られ2人はアドレア海へ実物を見に行きます。
そして、パリへ戻ったある日のこと。ドイツからやって来た3人の女性に会う2人でしたが、その中の1人、フランス人のカトリーヌに2人とも見惚れてしまいます。
カトリーヌはあの美しい石造の女性の面影がありました。
彼女がいないジュールはカトリーヌと交際しますが、ジムもジルベルトという彼女がいるにも関わらず、心はカトリーヌに惹かれていき・・・。
所謂、三角関係ってことですよね。でも、この三角関係は次第に奇妙な形を造り始めます。
と、その前に、カトリーヌに会う前にジュールは自由奔放なテレーズという女性に惹かれるのですが、このエピソードは何か意味があったのですかねぇ。
1ヶ月後。しばらく会っていなかったジュールとジム。ジュールは改めてジムにカトリーヌを紹介します。カトリーヌもテレーズと同様、自由奔放な女性でした。
今が好き。楽しければそれでいい。愛する人がそばにいたらそれでいい。そんな女性でしたね。
男装したカトリーヌとジュールとジムがカケッコするシーンが微笑ましかったですね。でも、微笑ましかったのはここまで。ジュールがカトリーヌと結婚してから、カトリーヌの「魔性の女」とも呼べる本性が現れます。
大戦後。ジュールの故郷ドイツでのジュールとカトリーヌの結婚生活。娘サビーヌも授かり、幸せな暮らしをしているかに見えましたが・・・。
もう病的なのでは?と思うくらいのカトリーヌの奔放さ。移ろいやすいカトリーヌの愛は、ジュールからカトリーヌを愛する男アルベールへと・・・。
そこへパリから訪ねて来るジム。その途端、カトリーヌの愛はアルベールからジムへと・・・。ジュールもジムならと、カトリーヌとジムの同棲まで許してしまいます。
1つ屋根の下に夫婦が別々の部屋で、妻は他の男と・・・。
深い愛ゆえに耐えるジュールも何だか病的っぽく見えてしまいましたね(^_^;
カトリーヌ役にはジャンヌ・モロー。フランソワ・オゾン監督の「ぼくを葬る」に出演した老齢の彼女しか知らなかったのですが、芯の強い女性像は若い頃から既に備わっていたのですね。やっぱり美人です。
ラスト。
ジムが可哀想だなぁ。まぁ、ジュールもですけど・・・。カトリーヌは愛されるより愛したいタイプだったのかなぁ。
カトリーヌを一番愛していたのはジュールだったと思いますし、子供にも恵まれ、すべてにおいて満たされた生活だったはずなのになぁ。
2人はカトリーヌと出会わなければ、もっと違う幸せな未来があったはず・・・ですよね。
突然、炎のように燃え上がるカトリーヌの愛に魅入られた2人の男の悲劇でした。
Title:
JULES ET JIM
Country:
France (1962)
Cast:
(Catherine)JEANNE MOREAU
(Jules)OSKAR WERNER
(Jim)HENRI SERRE
(Gilberte)VANNA URBINO
(Albert)BORIS BASSIAK
(Lucie)ANNY NELSEN
(Sabine, la petite)SABINE HAUDEPIN
(Récitant / Narrator)MICHEL SUBOR
Director:
FRANÇOIS TRUFFAUT
