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女性ばかりに囲まれた婦人科医の男の苦悩を描いたアンサンブル・コメディ。
ロバート・アルトマン監督ならではのタッチで、女性たちの本性を浮き彫りにしています。
トラビス医院の院長であり、婦人科医でもある「Dr.T」ことサリー・トラビスは、女性たちを理解している数少ない男でした。年代を問わず、さまざまな女性たちの悩みを聞きながら診察するDr.Tは、常に女性たちの憧れの的・・・。
しかし、Dr.Tにも唯一理解できない女性がいました。それは妻のケイト。愛すれば愛するほど、ケイトは離れて行ってしまいます。
ケイトは「ヘスティア・コンプレックス」という病に侵されていました。夫から愛され、富も名誉あり、結婚を控えた娘もいる。すべてに満たされすぎてしまい、生きるために前進する意欲が損なわれてしまう病気でした。
その結果、成長を止めてしまい、逆に子供へと帰ってしまったケイトは精神科療養所へと入院することになってしまいます。
面会謝絶の中、心にポッカリ穴が空いたDr.Tの前に現れた一人の女性ブリー。彼女は、Dr.Tが通うゴルフ場にやって来たプロゴルファーでした。彼女の活き活きとした姿にDr.Tは次第にブリーを愛するようになってしまいますが・・・。
まぁ、これでもかと女性たちが登場します。
妻ケイトと娘のディディとコニー。
ケイトの妹ペギーとペギーの3人の娘。
召使いのマリア。
ディディの親友マリリン。
助手のキャロリン。
患者のドロシー。
そしてブリー。
他にも、病院で働く事務員、患者、ショッピングモールのティファニーの店員、ディディが参加したチアリーディング、ディディの結婚式での衣装合わせ・・・等々、99%女性だらけです(^_^;
唯一、男性のみのシーンといったら、Dr.Tと男友達のクレー射撃とハンティングシーンぐらいなものです。
そして、あれだけの女性が登場すると、やはり出てきますね・・・見栄、噂、そして、秘密。
実は、私も数年前、Dr.Tとほぼ同じ状況の中、仕事をしていた経験があるので、女性たちのヒソヒソ話やら告げ口やら、何と言いましょうか「派閥」って奴ですか・・・。そんなものを、遠巻きから見ていたものであります(^_^;
ですので、Dr.Tの気持ちが非常によく判るというか・・・共感します。
さて、Dr.Tですが、妻の病気でさえ手一杯なのに、ディディの結婚に隠された秘密をコニーから聞かされ、さらに悩みが増えてしまいます。コニーから「私は大丈夫だから」と言われても、コニーも何だかアブナイ性格ですしね・・・。
そして、何も解決しないまま始ってしまったディディの結婚式は・・・てんやわんやの大騒ぎって感じです(^_^;
もう、Dr.Tの唯一安らげる場所は、ブリーの胸の中だけなのですが・・・。
Dr.T役にはリチャード・ギア。女性を理解してると豪語するDr.Tにはピッタリなキャスティングですね。でも、実際は理解していないのですが・・・。
ブリー役にはヘレン・ハント。彼女の良さは気負うことなく自然に演じているところだと思います。アクティブなブリーも自然体で演じているようでした。
さらに、ケイト役にはファラ・フォーセット。
ペギー役にはローラ・ダーン。
ディディ役にはケイト・ハドソン。
マリリン役にはリヴ・タイラー。
と豪華なキャスティングです。
アルトマン作品としての見どころは、やはりオープニングでしょう。長回しによる待合室でのシーン。演じている女優たちはカメラを意識することなんてできないでしょうね。
アルトマン監督のファンとしては、オープニングだけでも観てほしいです。
ラスト。えっ!オイオイ!と言いたくなるような展開になりますが、女性を理解していると思っていたDr.Tにとって、これが間違いなくハッピーエンドなのでしょう。
教訓。女性を理解したと思うべからず。
Title:
Dr.T AND THE WOMEN
Country:
USA/Germany (2000)
Cast:
(Dr. T)RICHARD GERE
(Bree)HELEN HUNT
(Kate)FARRAH FAWCETT
(Peggy)LAURA DERN
(Carolyn)SHELLEY LONG
(Connie)TARA REID
(Dee Dee)KATE HUDSON
(Marilyn)LIV TYLER
(Harlan)ROBERT HAYS
(Bill)MATT MALLOY
(Eli)ANDY RICHTER
(Dr. Harper)LEE GRANT
(Dorothy Chambliss)JANINE TURNER
Director:
ROBERT ALTMAN
