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荒野をさすらう男の一大スペクタクル・ウエスタン・ムービー。
カルト映画の代表的な作品。伝説化、神格化とまで言われています。
さすがカルト映画だけあって、私が今まで観てきた作品とは一線を画する作品でした。
荒野。砂漠。死に絶えた町。そして、おびただしい無数の死骸・・・。
この作品は4つに構成され、
「創世記」
「預言者たち」
「詩篇」
「啓示」
のサブタイトルが付けられています。
「創世記」では、主人公エル・トポは自らを「神」と名乗り、弱き者を助ける正義のガンマンとして7歳の息子と共に旅をしています。しかし、大佐率いる山賊を倒し、助けた女性と出会ったことでエル・トポの運命が大きく変わります。
「預言者たち」では、息子を置き去りにしてまで助けた女性マラと共に旅を始め、「私を愛しているなら4人の銃の達人を倒して」というマラの願いにより、エル・トポは「マスター」と呼ばれる銃の達人たちと対決します。しかし、エル・トポをはるかに上回る技量を持つマスターたちにエル・トポは卑怯な手を使いながら倒していきます。
今まで正々堂々と悪者を倒してきたエル・トポにとっては勝ち続けることに耐えることができませんでした。そして、旅の途中から同行している謎の黒衣の女性ガンマンからも対決を挑まれてしまいます。マラを賭けて・・・。
「詩篇」では、十数年後の世界から始まります。死に絶えたはずのエル・トポの復活。そして、閉じ込められた洞窟の中で暮らすフリークスたち。ここで、エル・トポは自らを「神」と呼ぶのではなく、フリークスたちから「神」と崇められています。
エル・トポは、洞窟からフリークスたちを解放するために、1人のフリークスの女性と町に行きお金を稼ぎながら、道具やダイナマイトを買い、洞窟に通じる穴を掘り始めます。
町は黒人を奴隷にし、虐殺を繰り返していました。その光景を目の当たりにしたエル・トポとフリークスの女性は・・・。
「啓示」では、その町で神父になっていたエル・トポの息子と出会います。そして、ついに外界に通じる穴が開きますが・・・。ついに、エル・トポは「神」の領域に達したのでしょう。町の人々に制裁を与え、与えた罪に対する罰を自ら受けます。
何の脈絡もなく話が切り替わる展開に意味はあるのか。ストーリーについて行くのは至難の業でしょう。
圧倒する世界観。
そこに尽きると思います。
この作品を実写でここまで表現した映像は衝撃的です。
監督はアレハンドロ・ホドロフスキー。カルト映画の先駆者です。「エル・トポ」、「ホーリー・マウンテン」、「サンタ・サングレ/聖なる血」の「カルト三部作」を製作しています。「ホーリー・マウンテン」と「サンタ・サングレ/聖なる血」のトレーラーも観たのですが、これがまた衝撃的な映像の数々でした(^_^;
残酷なシーンの数々・・・でも凄惨な世界がなぜか神聖的に映ります。
1人の人間が神になる物語・・・でもそんな簡単に説明できるほど単純な作品ではありません。
感動などという言葉は皆無です・・・でもその世界観に圧倒され見続けてしまう神懸り的な作品でした。
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Title:
TOPO, EL
Country:
Mexico (1970)
Cast:
(El Topo)ALEJANDRO JODOROWSKY
(His Son(as a boy))BRONTIS JODOROWSKY
(Dying Man)JOSÉ LEGARRETA
(Mara)MARA LORENZIO
(The Colonel)DAVID SILVA
(Armless man)IGNACIO MARTÍNEZ ESPAÑA
(Legless man)ELISEO GARDEA SAUCEDO
(Master #1)HÉCTOR MARTÍNEZ
(Woman in black)PAULA ROMO
(Mother of Master #2)BERTHA LOMELÍ
(Master #2)JUAN JOSÉ GURROLA
(Master #3)VÍCTOR FOSADO
(Master #4)AGUSTÍN ISUNZA
(Small woman)JACQUELINE LUIS
(Son of El Topo(as a man))ROBERT JOHN
(Priest)JULIÁN DE MERICHE
Director:
ALEJANDRO JODOROWSKY
