Comment:
平穏な暮らしを願う異常な男と狙われたポルノ女優の破天荒な愛の行方。
とかく女性を中心にストーリーが展開するペドロ・アルモドバル監督作品の中では、男性がストーリーを進行していくという異色の作品です。
精神病院を脱走しては、また戻ってくる男リッキー。寝る場所、食事、そして女(看護士だけでなく女院長までも!!)が得られる場所として利用していたリッキーは病人と偽って入退院を繰り返していました。
しかし、病院で就職するためのあらゆるスキルを身に付けたリッキーは「普通の平穏な暮らしがしたい。結婚して子供も作りたい。」と思うようになります。
退院したリッキーが結婚したい相手とは、ポルノ女優のマリーナでした。
マリーナは、ポルノ女優でありながら、病から復帰した映画監督マキシモから主役として抜擢されたシンデレラ・ガール。姉のローラも映画スタッフとして雇われ、撮影は順調。無事クランクアップを迎えます。
そこへ、リッキーが紛れ込みマリーナに近づきます。そして、マリーナの家まで尾行して、ついにはマリーナを監禁してしまうのです。
リッキーは愛の告白をするも、マリーナはもちろん断りますが・・・。
初めはリッキーを異常な男だと思っていたのですが、次第にただ単に純粋な男なのでは?と思ってしまうのが不思議です。
リッキー役にはアントニオ・バンデラス。リッキーの魅力を存分にアピールしています。アントニオ・バンデアラスは、この作品で監督作品から卒業。その後、ハリウッドへ進出します。でも、また監督作品には出演して欲しいですね。
マリーナ役にはヴィクトリア・アブリル。常連だったカルメン・マウラから交代します。主演女優が若くなると作品も若くなるなぁという印象があります。ヴィクトリア・アブリルは90年代前半の監督の常連ですね。
そして、またまた出てきたフリエタ・セラーノ(^_^;
でもこの作品ではマキシモ監督の妻アルマ役で抑えた演技でした。ちょっと勿体無い気もしますね。
そして、もう1人。出た!ロッシ・デ・パルマ(^_^;
今回はヤクの売人役ですか。このキャスティングの意図は・・・?彼女がバイクに乗る姿が妙にオカシイです。
ストーリー終盤。初めは頑なに断り続け何とか逃げようとしていたマリーナでしたが、リッキーとの監禁生活の中で彼女にも次第に変化が現れ始めます。
逃げたい?逃げたくない?
愛していないの?愛しているの?
その葛藤がマリーナの表情から伝わってきます。そして、マリーナの象徴的なセリフ。
「アタメ!」
「縛って」という意味だそうです。このセリフの意味するところは・・・。
それは、マリーナのリッキーに対する愛情表現・・・。でも、まったく嫌らしくなく、むしろ、純愛と言ってもよいのではないでしょうか。
普通なら犯罪、事件になる出来事なのに・・・愛すると犯罪ではなくなってしまう!?
・・・で、結局、マキシモ監督の作品はどうなったのでしょうね(^_^;
Title:
¡ÁTAME!
Country:
Spain (1990)
Cast:
(Marina Osorio)VICTORIA ABRIL
(Ricky)ANTONIO BANDERAS
(Lola)LOLES LEÓN
(Alma)JULIETA SERRANO
(Médica)MARÍA BARRANCO
(Camello en Vespa)ROSSY DE PALMA
(Máximo Espejo)FRANCISCO RABAL
Director:
PEDRO ALMODÓVAR