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「ミステリーの女王」アガサ・クリスティの戯曲「検察側の証人」の映画化。
リズミカルなストーリー展開。衝撃のラスト。法廷サスペンスを堪能できました。
富豪の未亡人フレンチ夫人が殺害され、親しくしていたレナード・ボールが容疑者として浮上します。
すべての状況が不利となるも無実を主張するレナードは、敏腕老弁護士ウィルフリッド卿に弁護を依頼。しかし、ウィルフリッド卿の目の前でハーン警部に逮捕されてしまいます。
さらに、ウィルフリッド卿は2ヶ月の入院から退院したばかり。看護士プリムソルが付き添いとして、刺激のある事件は避けるようにと言われていました。
しかし、ウィルフリッド卿はレナードの妻クリスチーネの夫を見放した冷たい態度に嫌悪し、誰一人助ける者がいないレナードの曇りの無い真っ直ぐな瞳に無罪を確信し、弁護を引き受けます。
と、ここまでが導入部。この導入部で主要人物のほとんどが登場し、人物の設定、ストーリーも判りやすく進行していきます。特にウィルフリッド卿と看護士プリムソルの掛け合いはコミカルでリズミカル。2人の性格がよく現れています。
そして、開廷。
検事は、やり手のマイヤーズ。証人として、ハーン刑事とフレンチ夫人の使用人ジャネットを証言台に立たせます。
ウィルフリッド卿も負けてはいません。ベテランの味を出しながらレナードにとって不利な証言を覆していきます。
しかし、マイヤーズ検事は最後の証人にレナードの妻クリスチーネを出廷させ皆を驚かせます。
はたして、ウィルフリッド卿は証人クリスチーネを打ち負かすことができるのか。
レナード役にはタイロン・パワー。人を惹き付ける甘いマスクがレナード役にピッタリです。この作品が遺作だそうです。
クリスチーネ役にはマレーネ・ディートリッヒ。「クール・ビューティー」という言葉が似合いますね。50代とは思えない脚線美もちょっとだけ披露しています。
ついに、判決の日を迎えます。
法廷には衝撃の展開が待ち受けていました。
また、衝撃後のウィルフリッド卿と看護士プリムソルのやり取りが何とも心地良かったです。
ウィルフリッド卿役にはチャールズ・ロートン。看護士プリムソル役にはエルザ・ランチェスター。息の合った掛け合いは、プライベートでもパートナーだからなのでしょうね。夫婦共演はこの作品が最後だそうです。
ストーリー、キャスト、演出とも素晴しい作品です。
でも、なぜ邦題が「情婦」なのでしょう・・・それだけが疑問に残りました。
「検察側の証人」のまま方が良いのになぁ。
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Title:
WITNESS FOR THE PROSECUTION
Country:
USA (1957)
Cast:
(Leonard Vole)TYRONE POWER
(Christine)MARLENE DITERICH
(Sir Wilfrid)CHARLES LAUGHTON
(Miss Plimsoll)ELSA LANCHESTER
(Brogan Moore)JOHN WILLIAMS
(Mayhew)HENRY DANIELL
(Carter)IAN WOLFE
(Mr. Myers)TORIN THATCHER
(Mr. French)NORMA VARDEN
(Janet)UNA O'CONNOR
(Judge)FRANCIS COMPTON
(Inspector Hearne)PHILIP TONGE
(Diana)RUTA LEE
Director:
BILLY WILDER
Awards:
Golden Globes 1958, USA
(Golden Globe Best Supporting Actress)ELSA LANCHESTER

