イン・ザ・スープ | ひでの徒然『映画』日記

ひでの徒然『映画』日記

映画レビューを徒然なるままに書き綴ります。


イン・ザ・スープ


監督:アレクサンダー・ロックウェル

キャスト:

スティーヴ・ブシェミ、シーモア・カッセル、ジェニファー・ビールス

パット・モーヤ、ウィル・パットン、ジム・ジャームッシュ、キャロル・ケイン、スタンリー・トゥッチ

製作:1992年、アメリカ


クリスマスのニューヨーク。みんなが幸せになれる日に1人浮かない顔をした青年アルドルフォ。金目のものはすべて売り払ってしまい、現在は文無し。そんなアルドルフォにも夢があった。


オリジナルの脚本で映画を撮ること。


既に脚本は出来上がり、主演女優も決めている。アパートの隣り部屋に住む美しい女性アンジェリカだ。しかし、現実はそんなに甘くはない。追い討ちをかけるように家主のルイスとフランクから今度の金曜日までに家賃100ドルを払えと命じられてしまう。


怪しげなプロデューサー、モンティとバーバラから100ドルの仕事を引き受けても40ドルしか貰えない。


困り果てたアルドルフォは、大切な脚本を売りに出した。


そして、謎の男ジョーが1000ドルで脚本を買い、しかも映画製作の援助まですると申し出てきた。


Comment:

映画製作の夢のために奔走する青年の数奇な運命を描いた作品。


脇役として強烈な印象を残すことが多いスティーヴ・ブシェミが主役を演じています。でもそこはやはりブシェミ。正義のヒーローでも勇気ある男でもなく、周りの人々にただただ翻弄される情けない男アルドルフォを演じています。


お金は無くても映画を撮りたいという気持ちは変わらないアルドルフォ。夢を持つと前向きになれますよね。でもアルドルフォの場合は極端で、アンジェリカから嫌われていることすら気付かず「僕の前にいるとさらに輝いてみえる」などと勘違いしてみせます。


でもやはり当面の生活費は必要で、仕方なく脚本を売りに出したアルドルフォ。そして、謎の男ジョーが現れます。


気前良く1000ドルで脚本を買い、その後の映画製作にも協力することを申し出るジョー。ジョーは相手にNoとは言わせない自信みなぎる言動の持ち主でした。不審になりながらもアルドルフォは承諾してしまいます。


その予感はやはり的中してしまうのですが・・・。


でもそこはやっぱりブシェミなので、可哀想というより笑ってしまいましたね。


ジョーの目的は何だったのでしょうね。やはり、盗みや詐欺を働いてアルドルフォに罪を着せるつもりだったのでしょうか。でもジョーの最後の言葉は本心だったと思いました。


ジョー役のシーモア・カッセルが神出鬼没なジョーをコミカルに演じています。他にもジョーの弟スキッピー役のウィル・パットン、アンジェリカの夫グレゴワール役のスタンリー・トゥッチなどが個性的な役を好演しています。


アルドルフォはジョーに翻弄されながらも時折みせる人生の教訓に耳を傾け頼りにし、ジョーもアルドルフォを何かと心配する。「友情」というよりも「父と子」の関係に似ていたのかもしれませんね。


「イン・ザ・スープ」とは「苦境に陥る」ことを言うそうです。


もしかしたら、この作品はアルドルフォが撮影したもので、自分の苦境を描きながらも夢の実現へと導いてくれたジョーに捧げるための作品だったのかもしれませんね。



にひひにひひにひひかお