監督:デヴィッド・リンチ
キャスト:
シェリル・リー、レイ・ワイズ、モイラ・ケリー
ジェームズ・マーシャル、ダナ・アッシュブルック、レニー・フォン・ドーレン
グレイス・ザブリスキー、ペギー・リプトン、メッチェン・エイミック、エリック・ダレー、キャサリーン・コウルソン
フィービー・オーガスティン、パメラ・ギドリー、ハリー・ディーン・スタントン
マイケル・アンダーソン、フランク・シルバ、アル・ストロベル
クリス・アイザック、キーファー・サザーランド、デイヴィッド・リンチ、デヴィッド・ボウイ、カイル・マクラクラン
製作:1992年、アメリカ
1988年、ワシントン州ウィンド川。ビニールに包まれた少女テレサ・バンクスの遺体が発見された。FBIのゴードンは、現地へチェット・デズモンド特別捜査官とサム・スタンリー特別捜査官を派遣する。様々な手がかりを掴む2人だったが、デズモンド捜査官がテレサが住んでいたトレーラー跡に落ちていた指輪に触れた瞬間、その場から消えてしまう・・・。
フィラデルフィア。ゴードンのオフィスではデイル・クーパー特別捜査官が夢の話をしていた。その時、2年近く行方不明だったフィリップ・ジェフリーズ特別捜査官が突然やって来た。そして、「奴らを付けていった。」などと意味不明な言葉を叫んだ後、その場から忽然と消え去るのだった。
デズモンド捜査官が失踪したトレーラー・パークへ向かったクーパー捜査官。そして、テレサが住んでいたトレーラー跡で奇妙な感覚に襲われる。近くにあったデズモンドの車のフロントガラスには「さあ、やろう」というメッセージが書き残されていた。
そしてツイン・ピークスでは、徐々にボブの魔の手がローラ・パーマーへと忍び寄っていた・・・。
Comment:
TVドラマ「ツイン・ピークス」の劇場版。
TVドラマの第1話でビニールに包まれて発見されたローラ・パーマー。彼女が殺害される7日前からの彼女の足跡を辿るストーリーになっています。「ローラ・パーマーは殺される」、そして「誰に殺されるのか」ということは、TVドラマで判っていながらも、最後の殺害シーンまで何が起こるか判らないのがデヴィッド・リンチ監督作品。最後まで食い入るように観てしまいました。
プリマ・クィーンとして学園の女王となったローラ。みんなから愛されていたローラは表の顔でした。
裏ではドラッグとセックスに溺れ、裏の顔も知れ渡るようになります。しかし、彼女には理由がありました。
ボブから逃げるために、現実から逃げようとしていたのです。
原題のサブタイトル「FIRE WALK WITH ME」・・・「火よ。我とともに、歩め」・・・。
実際にローラが何か(ボブ?)に取り憑かれたように発する言葉で、彼女の恐怖が一番伝わる象徴的なシーンです。
しかし、どんなことをしても目の前からボブは消えませんでした。その理由もローラは既に知っていました。秘密の日記にボブの正体を書き記しましたが、そのページすらボブによって切り捨てられてしまいます。
そして、ローラは覚悟します・・・自分は殺されるのだと・・・。
切り捨てられた日記を見つけた後のローラは、まるで自分を愛する人へ別れを告げるようにさまざまな人に出会います。
日記を書くことを勧めたハロルド。ボブの存在とローラの苦悩を知る数少ない人。
親友のドナ。裏の顔を見せたにも関わらず心配してくれる愛すべき人。
表の顔では恋人同士だったボビー。自分を愛していないと知りつつもローラを愛する人。
愛するジェームズ。ローラが本当に心から愛していた人。
ローラは彼らを守るために別れを告げます。しかし、ローラはまだ高校生でした。恐怖に立ち向かうことができず、またドラッグとセックスに溺れてしまいます。
そしてボブがやって来ました・・・。
・・・赤いカーテンの部屋・・・ローラが天使を見て笑っています。自分の部屋に飾っていた絵の消えた天使でした。ローラはやっと恐怖から解放されたのでしょう。あの笑顔は幸せであることの証だと信じたいです。
TVドラマでは想像でしかなかったローラ・パーマー。愛されていたローラを現実として観ることができる作品。やはり順番としてはTVドラマを観てからこの作品を観たほうが良いですね。ツイン・ピークスに住む人々もすべてではありませんが登場します。個々のキャラクターを理解した上で観るのがベストだと思いました。
TVドラマを観てくれた人へ捧げる作品。感動や共感することは無くても、「ツイン・ピークス」の世界観を存分に楽しめる作品でした。