監督:ランドール・ミラー
キャスト:
ロバート・カーライル、マリサ・トメイ、ジョン・グッドマン
メアリー・スティーンバージェン、ショーン・アスティン、ドニー・ウォールバーグ、デヴィッド・ペイマー
ソニア・ブラガ、エルデン・ヘンソン、アダム・アーキン、ダニー・デヴィート
製作:2005年、アメリカ
「約束したんだ。連絡がなくなっても、お互い結婚しても・・・何があっても・・・新世紀に入って5年5ヶ月と5日目に会うと。一緒に踊ったマリリン・ホッチキス学校で。」
家業のパン屋を継いだフランクが車を走らせていると、1台の車が猛スピードで追い越していった。しばらくすると、追い越していった車が事故に遭っていた。大破した車の運転席にはまだ男が息をしていた。すぐに救急に連絡し、病院に運びこまれるその男スティーブに付き添うことになったフランク。スティーブは少年時代の想い人リサに再会する途中だった。
スティーブはリサへの想いを伝えて欲しいとフランクに懇願する。承諾したフランクは1枚のチケットを渡された。それは、マリリン・ホッチキス学校のチケットだった。
Comment:
スティーブの少年時代。スティーブとフランクの出会い。フランクの今の3つの時間を錯綜していくヒューマン・ラブストーリー。
最愛の妻リタを亡くし、生きる糧を失くしていたフランク。しかし、1つの交通事故で出会ったスティーブという男の最期を見届けるうちに彼の中で何かが変わり始めました。
スティーブの遺言ともいえる彼の少年時代の思い出話は、淡い初恋の物語でした。「好きだ。」と正面から告白できない腕白な少年スティーブと密かにスティーブに恋心を抱いている少女リサが、ダンスとマナーを教えるマリリン・ホッチキス学校で少しずつ距離を縮めていきます。
その微妙な心の変化を少年スティーブ役のエルデン・ヘンソンが可愛らしく演じています。彼はこの作品でもう一役演じています。フランクのパン屋で働く友人サンプソンです。でも、あまりに年齢が離れていてすっかり大人になっています。
実は、スティーブの少年時代は元々短編映画として製作された作品だそうです。その作品を今回のフランクの話と繋ぎ合わせて1つの長編作品として仕上げたそうです。つまり、製作期間は十数年となりますね。
そして、スティーブとリサはまた出会うことを約束します。
その約束の日。新世紀に入って5年5ヶ月と5日目にスティーブは交通事故に遭ってしまい、代わりにフランクがマリリン・ホッチキス学校へ向かうことになりました。
マリリン・ホッチキス学校はマリリンの娘マリアンヌが後を継ぎ、大人のダンス教室となっていました。フランクは流れにまかせてダンス教室の生徒になってしまいます。そこでリサを探そうとするのですが・・・。
このマリリン・ホッチキス学校の受講生たちがまた個性溢れる人たちでした。自分が一番巧く踊れると豪語するランドール。義理の妹メレディス。男たちに色目を使うティナなど。しかし、楽しいはずのダンス教室でフランクは取り乱してしまいます。
フランクの心の中には、まだリタへの想いでいっぱいでした。妻と死別した男性たちのセラピーにも参加し、自分を取り戻そうとしているフランク。そこに、メレディスがそっと手を差し伸べます。
人生という道で立ち止まっていたフランクでしたが、スティーブやメレディスと出会い、そして何よりダンスと出会ったことで、今までと違う環境がフランクの新たな風を呼び起こしたようでした。
フランク役にはロバート・カーライル。はじめの思いつめた表情から、ダンスを楽しむ表情まで、見事に演じ分けています。
フランクだけでなく、すべての登場人物に何かしらの悲しみがあり、それがダンスによって笑顔へと変わる。それをシリアスにではなくコミカルに描いています。心が幸福感で満たされるような作品でした。
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