親密すぎるうちあけ話 | ひでの徒然『映画』日記

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映画レビューを徒然なるままに書き綴ります。


親密すぎるうちあけ話


監督:パトリス・ルコント

キャスト:

サンドリーヌ・ボネール、ファブリス・ルキーニ

ミシェル・デュショーソワ、アンヌ・ブロシェ、ジルベール・メルキ、イザベル・プティ=ジャック

製作:2004年、フランス


パリの街を思い詰めた表情で歩く女性アンナ。カウンセリングを受けるためにとあるビルの6階にあるモニエ医師の診療室へ入る。彼女の悩みは結婚生活だった。4年目の現在、夫マルクとは冷え切って互いに触れることもないという。アンナは現在の状況を説明した後、医師の言葉も聞かずに、次の予約をして足早に出て行った。


しかし、アンナは大きな間違いをしていた。悩みを告白した男はモニエ医師ではなく、診療室の隣室で個人税理士事務所を経営しているウィリアムだったのだ。間違いであることを指摘できずに当惑するウィリアムは、バツイチの独身。前妻のジャンヌとは今も着かず離れずの関係にある。


次の予約の日。アンナはまたもウィリアムの言葉を遮り、衝撃的な悩みを告白する。


「夫は他の男と寝ろというの・・・。」


ウィリアムは間違いであることを告白できずに、モニエ医師と偽り、カウンセリングの真似事を始めてしまう・・・。


Comment:

偽者のカウンセラーと結婚生活に悩むミステリアスな女性の心の駆け引きを描いたラブストーリー。


仕事人間で紳士的なウィリアム。父親が経営していた事務所を継ぎ、平凡と暮らしていた毎日に突然訪れた非日常的な出来事。冒険家にもなりたかった彼は、夢に憧れる少年の好奇心を今も持ち続けていたのでしょうね。趣味が玩具収集であったり、1人で音楽に合わせながら踊り弾けたりするシーンなどで彼の本当の心が表現されています。特にダンスシーンの弾けっぷりは、他のシーンとのギャップもあり笑えました。


そんなウィリアムがどんどんアンナに惹かれていきます。カウンセラーとして接しなければならないため、ウィリアムはなんとモニエ医師に助言を乞うことも。このモニエ医師がまた曲者でユニークな人物です。モニエ医師がウィリアムをカウンセリングし、ウィリアムがアンナをカウンセリングするという奇妙な関係が生まれています。


しかし、とうとうアンナに偽者であることがバレてしまうのですが・・・。


カウンセラーという職業がある以上、専門的な知識が求められると思うのですが、悩みを相談する人というのは、家族や友人ではない第三者の人物なら誰にでも悩みをうちあけるだけで意外と心がスッキリするのかもしれませんね。


ウィリアムとアンナの場合は、中盤以降、お互いにカウンセリングしていましたが・・・。


作品は官能的なイメージのあるタイトルとは異なり、ミステリーな雰囲気を与えつつ、時にコミカル。そして、淡い恋を描いています。視覚的には官能シーンは一切ありませんが、アンナが語る悩みと、ウィリアムとの心の駆け引きから思考的には官能的であると言えますね。大胆な官能シーンが多いフランス映画には珍しい作品です。


監督はパトリス・ルコント。「列車に乗った男」が初見で、この作品が2作目になります。まだ「髪結いの亭主」や「仕立て屋の恋」などの有名な作品が未見なので観てみたいです。


愉快なロマンティック・コメディではありませんが、大人の男女がしっとりと楽しめる作品に仕上がっています。



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