監督:ロドリゴ・ガルシア
製作:2005年、アメリカ
サンドラ
キャスト:エルピディア・カリーロ、ミゲル・サンドヴァル
刑務所から早く出所したいサンドラは模範囚となるべく必死に働いていた。すべては娘に会うために・・・。
ダイアナ
キャスト:ロビン・ライト・ペン、ジェイソン・アイザックス
スーパーマーケットで買物をしていた妊婦のダイアナは昔の恋人ダミアンと偶然に出会い動揺する。ダイアナの心の中には今も・・・。
ホリー
キャスト:リサ・ゲイ・ハミルトン、シドニー・ターミア・ポワチエ、ミゲル・サンドヴァル
ある決意を胸に秘めて実家に戻ったホリーは、最も忌み嫌い、そして、最も愛すべき父を呼び出し・・・。
ソニア
キャスト:ホリー・ハンター、スティーヴン・ディレイン、ジェイソン・アイザックス、モリー・パーカー
ソニアと夫のマーティンは、友人のダミアンとリサの新居に訪れるが・・・。
サマンサ
キャスト:アマンダ・セイフライド、シシー・スペイセク、イアン・マクシェーン
車椅子の生活を続けるラリーと介護に疲れたルースはお互いを心配するも直接会話は交わさず、娘のサマンサを通じて様子を伺っていた。
ローナ
キャスト:エイミー・ブレネマン、メアリー・ケイ・プレイス、ウィリアム・フィクトナー、モリー・パーカー
ローナは両親に連れられて、別れた夫アンドリューの妻の葬儀に出席した。しかし、ローナには葬儀に出席したくない理由があった・・・。
ルース
キャスト:シシー・スペイセク、エイダン・クイン、エルピディア・カリーロ
ルースは浮気相手のヘンリーとモーテルへやって来たが、その時、サンドラが逮捕され連行されるところを目撃する。
カミール
キャスト:キャシー・ベイカー、リサ・ゲイ・ハミルトン、ジョー・マンテーニャ、メアリー・ケイ・プレイス
手術前のカミールは不安になり、夫リチャードや周りの人に喚き立てるが・・・。
マギー
キャスト:グレン・クローズ、ダコタ・ファニング
マギーは娘のマリアを連れて家族が眠る墓地へやって来た・・・。
9人の女性が織り成すそれぞれの愛のかたちと人とのつながりとを描く群像ドラマ。
Comment:
9人の女性がそれぞれ主役となる1話完結の9つのオムニバス作品。
各ストーリーのサブタイトルに主役となる女性の名前が付けられています。
家族愛がテーマのサンドラとホリーの「愛」には激しさがあり、サマンサとルース、マギーの「愛」には暖かみがあります。それを親の視点と子供の視点から実にリアルに描いています。
一方、夫婦愛がテーマのダイアナとローナは別れた相手との「愛」に迷い、ソニアとカミールは現在の夫との「愛」に苦しみます。でも、それぞれ「愛」に対する考え方が異なり、観ていて飽きませんでした。
一番良かった話は「マギー」でした。切ないのに、どこか安らぎを与えてくれる話でしたね。
心に残ったフレーズは、「サマンサ」の中で母ルースが娘サマンサに贈る言葉、
「人生を見つめることはいつでもできる。すべては今日起きる。明日ではないのよ。」です。
未来に不安になっても仕方ない。今日一日を精一杯生きることで、はじめて未来を、そして、人生を見つめることができるのだと教えてくれます。う~ん、深い言葉です。
気になった女優は、まず、ダイアナ役のロビン・ライト・ペン。別れた最愛の男ダミアンを見かけた途端にみせる驚きと動揺、そして、不安が入り混じった表情を見事に演じています。
そして、もう1人はマギーの娘、マリア役のダコタ・ファニング。主役でもないのに、あのオーラは何なのでしょう。自然に会話しているようにも思える演技は、マギー役のグレン・クローズの存在感に引けを取らないのではないでしょうか。
この作品は、異なる9つのオムニバス作品にも関わらず、登場人物が数人、各ストーリーに登場し、リンクし合っています。ちなみに、上記のキャスト欄に重複している俳優がリンクしている人ですが、まだ他にもいるかもしれません。どの人がリンクしているのかを探すのも、この作品の楽しみ方なのかもしれませんね。
また、各ストーリーともすべて1シーン1カットで製作されているところにも注目です。それもあって、すべてのストーリーにリアリティがあり、俳優達の演技の高揚感も味わえたのでしょうね。
派手な展開もなく、淡々と話は進みますが、至極のストーリーが詰まった叙情的な大人の作品です。