過去ログ:2006年5月2日(火)
監督:ベント・ハーメル
キャスト:ヨアキム・カルメイヤー、トーマス・ノールストローム
1944年、スウェーデンの主婦と家政学の専門家たちが家庭調査協会を設立。科学者たちは、より良い台所用品の開発のため、主婦の動線や台所用品の使い勝手を調査、研究していたが、今度は台所における独身男性の動きを調査するため、協力してくれるノルウェーの田舎町へと調査団を派遣した。
調査期間は6週間。調査員は台所に待機し、対象となる人物とは何があろうと一切会話をしてはならないルール。
調査員のスウェーデン人フォルケの調査対象はノルウェー人のイザック。イザックは観られていることを極端に嫌い、フォルケの調査は進まないのだが・・・。
何もない田舎町でのんびり暮らすイザックとそれに魅せられたフォルケとの心の交流を描いたハートウォーミングな物語。
Comment:
台所に高いイスを運び、調査するフォルケの視線がどうしても気になるイザック。この構図の奇妙さに笑ってしまう。何も話さない人が6週間も台所にいることを想像するだけでもストレスが溜まりそうである。が、この初老のイザックは、ただ観察されているのわけではなかった。そのお茶目な行動が微笑ましい。そして、あることをきっかけにフォルケとイザックはルールを破ってしまうのだが・・・。
人は1人では暮らしていけない。例え血は繋がっていなくても何でも話せる心の家族が必要なのだ。
One More:
のんびりした展開に心が和みます。
全編を通して目に付いたのが可愛らしいアイテムたち。
調査団が運んできた寝泊りするトレーラー、調査用の高いイス、台所にある塩の入れ物など、どれもセンス抜群です。男性ばかりが出演しているのに作品全体が可愛らしく思えるのは、これらアイテムのおかげかもしれませんね。
「キッチン・ストーリー」というタイトルどおり、ほとんどが台所でのシーンなのですが、料理はあまり登場しません。が、フォルケが叔母に届けさせたニシンの漬けもの?がものすごく美味しそう。それと、イザックの誕生日のためにフォルケが用意したケーキ・・・いったいあのケーキにロウソクが何本刺さっていたのでしょう?2人が肩を並べて食べるシーンが笑えます。
意外と知らなかったのが、スウェーデンとノルウェーの仲の悪さ。スウェーデン人はノルウェー人を笑い者にし、ノルウェー人もスウェーデン人のことを笑い者にしているそうです。そんなスウェーデン人のフォルケとノルウェー人のイザックの心の交流を描くことで、作品の深みがより増しているのでしょう。スウェーデンとノルウェーの歴史も知っているとまた違った印象を持ったかもしれまんね。
追記:
製作:2003年、ノルウェー/スウェーデン