監督:アニエス・ジャウィ
キャスト:
マリルー・ベリ、ジャン=ピエール・バクリ、アニエス・ジャウィ、カイン・ボーヒーザ、ロラン・グレヴィル
製作:2004年、フランス
有名な大作家であり自己中心的な父エチエンヌとぽっちゃり体型の娘ロリータ。ロリータに近づく男達はみなエチエンヌと親交を深めるために便宜上優しく接してくる。またエチエンヌの後妻カリーヌはロリータと年齢も変わらないほどに若くそして美しいため、ロリータはいつしか恋愛、体型、そして父親すべてに対してコンプレックスを抱くようになっていた。でも、父親にだけは認めてもらいたいために得意の歌で気を惹かそうと必死になっている・・・。
ロリータの声楽の教師シルヴィアは、ロリータの才能を認めていなかったが、それでも必死にレッスンを申し込むロリータに手を拱いていた。そんなある日、ロリータの父がエチエンヌと知り驚愕する。シルヴィアはエチエンヌの大ファンであり、また、彼女の夫も新人作家のピエールだったからだ。この縁でピエールにはさらに多くの仕事が舞い込むと考えたシルヴィアはロリータのレッスンに付き合うようになる。
ロリータ、エチエンヌ、シルヴィア、ピエールら、それぞれの思いが交錯しながらロリータの発表会を迎えるまでの群像ドラマ。
Comment:
フランスの女性監督アニエス・ジャウィが脚本、そして、出演もこなした作品。
公私ともにパートナーであるジャン=ピエール・バクリも共同脚本、および、出演もしています。でもこの作品を最後に2人は破局したとか・・・。
ロリータは父を誰よりも愛しているが、父エチエンヌはそんなロリータの気持ちを知ろうともせず、後妻カリーヌだけを愛している。
ロリータと偶然出会った男セバスチアンは純粋にロリータを愛しているが、ロリータはそんなセバスチアンの気持ちを知ろうともせず、父に会いたいがための演技だと決め付けている。
似たもの同士のこの2人。さすが親子。
でもこの父親は本当にダメ親父ですね。娘の歌を褒めるどころか他の女性を褒めてしまう。それが恥ずかしいとかではなく本心だから尚更です。
それを見て取ったシルヴィアの言動は当然なのかもしれません。例えそれが夫の迷惑になろうとも・・・。
ストーリー的には、個性豊かな登場人物、何かと比較されてしまうロリータとカリーヌとのユーモラスなシーン、そして、聞き入ってしまう素晴しい歌声。面白味の要素がたっぷりあったのですが、本題の父との和解やシルヴィアとピエール側のエピソードがもう少しあったらと思いました。ロリータとセバスチアンのエピソードが中心だったのかもしれませんね。
それにしてもセバスチアンは大きな心を持った男ですね。私だったら、父の権威を振りかざし卑屈な態度をとるロリータには一目惚れしないと思いますが・・・。
第57回カンヌ国際映画祭 脚本賞