地獄の辞典 第九回 | MYBLOG

地獄の辞典 第九回

地獄の辞典 第九回

修羅場

修羅場(サンスカール=スーラーヴァ)
シュラシュシュシュ~←“修羅”と聞くと、こう言う人がかならず一人はいるだろう。シュラヴァラヴァンヴァ←“修羅場”と聞くと、こう言う人物が周囲に一人はいるだろう。修羅場とは、闘争的な場所である。六道輪廻の階層的には、人道(娑婆)の一階層下、海の層に属する、とされる。これは、実際に修羅界(修羅場)が海中に存在するというわけではなく、そういう比喩である。天道(天界)なら上空、人界(娑婆)なら地上、という具合に、六道(六界)には、それぞれイメージとしてのレヴェル(グレード)が設定されているのである。修羅場は、そのなかでも「海」というレヴェル(グレード)に位するというわけである。

修羅場は、生前に喧嘩や刃傷沙汰が絶えなかったり、戦(いくさ)で死んだ人が往生するとされる。修羅場は、修羅場というくらいだから、当然、そこの住人は、皆、修羅である。修羅とは、阿修羅のことである。修羅のサンスカールは、スーラ、阿修羅は、アスラである。京都四条河原の決戦場や古戦場には、こうした修羅(阿修羅)が、さまよっていそうである。修羅(阿修羅)とは、シリアやアッシリアなどの地方を起源とする一群の闘争的な神々である。ヒンドゥー教の神話では、魔神とされている。仏教では、仏法に帰依しているが。もともとは、禁欲的で正義を重んじ、厳格な性格の神族である。その性格は、仏教にも色濃く受け継がれている。

先述のとおり、修羅場は、闘争的な世界である。そこの住人は、皆、修羅であり、永遠に続く(永遠ではないが。)かのような闘争に、延々と飽くこともなく、明け暮れている。役の僧都・源信の著わした教書『往生要集』にも、地獄や餓鬼道に比べて、その描写が多いわけではないが、地獄や餓鬼(道)に負けず劣らず厳しい場所である、という(イメージ的には、陽性なイメージがあるが)。この世界(修羅界=修羅場)に往生しないためには、なるべく攻撃性をおさめ、平和を愛するように努める、としか言いようがない、だろうか。