魔術について
魔術:総合智としての技の大系。普通一般的に魔術とは、土俗的な、プリミティブな(原始的な)、情緒的な技術と思われていると思うが。高度に理性的な、そしてまた知性的なテクニックである。その歴史は古く、有史以来あるいは有史前から存在すると考えられている。人類の最初の職業は魔術師とする説が存在するくらいである。ここでは、シャーマン(呪術師)、祈禱師、占星術師も魔術師と考える。その歴史はキリスト教より古い。キリスト教そのものも魔術の影響を受けている。というより、キリスト教のもととなった古代宗教、原始宗教が魔術の影響を多大に受けているのである。しかしながら、ヨーロッパで主流となったキリスト教によって魔術は迫害されることとなる。(特に中世においてひどい。)これは、理性を最高の概念とするキリスト教の教義と、魔術が相いれなかったためである。(キリスト教会の有力者によって、魔術は土俗的ななにかあやしいものと考えられたため。)しかしながら、魔術はキリスト教会の排撃によって廃れるということはなかった。キリスト教勢力による魔術師(魔女、魔術師、妖術師)の排斥行動が中世にピークに達し、その後終焉すると、魔術と魔術師はその勢力を復活し始めるのである。中世には、薔薇十字団という魔術結社が誕生している。ゴールデンドーンテンプリという魔術結社が近現代における魔術の中興の祖と言えるだろう。魔術とは、カール・グスタフ=ユングのいわゆるアーキタイプ(元型)や(人類の)集合的無意識に根ざしている技術であるように思える。魔術とは、人間の精神とクロウリーのいわゆる四次元以上の高次元に属する諸力の総和である。