昨夜僕は鉄板に向かい、お好み焼きを食べておりました。

すると突然電話が鳴り、出てみるとグループ通話。
急遽オンライン家族会議が開かれたのです。

メンバーは義母、misono、義母の友人、義母の友人の御子息、そして僕。

議題は"のすけは今後どうするのか"

そもそも1人分の生活費すらまともに稼いでいなかった僕が、かろうじて続けていたライブ活動も今回のコロナの影響で全滅。

そのくせ先日もAmazonでAirPods Proを購入しレビューなんか書いて居やがる。

という事で開かれた今回の会議。

この話は後ろめたい気持ちで一杯になる。

と言うのも、何をするにも意欲が湧かず身が入らない僕は、絞り出して頂く全ての提案にただ首を傾げる事しか出来ず。

もっと言うと、やってみなければわからない事に対してとりあえずやってみるという選択肢がない僕にとって、それらの親切な"声"はただの"音"として認識されてしまう。

その状況下で義母の友人の御子息が口を開きこう語った。




「misonoは働きアリ。のすけさんは働きアリの中の怠け者。」


全員「…。」


続けて彼は



「働くグループの中には怠け者が必要である。むしろ居なくてはならない存在。」だと。


やる気がないとはいえそんな自分に罪悪感を抱いている僕は
(こ、これは一体どういう意図のフォローなのだろうか…?)
と疑問を抱き始めると彼はその事について詳しく説明を始めた。







「働きアリの法則」

以下Wikipediaより引用。

  • 働きアリのうち、よく働く2割のアリが8割の食料を集めてくる。
  • 働きアリのうち、本当に働いているのは全体の8割で、残りの2割のアリはサボっている。
  • よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。
  • よく働いているアリ2割を間引くと、残りの8割の中の2割がよく働くアリになり、全体としてはまた2:6:2の分担になる。
  • よく働いているアリだけを集めても、一部がサボりはじめ、やはり2:6:2に分かれる。
  • サボっているアリだけを集めると、一部が働きだし、やはり2:6:2に分かれる。




なんだと…?




そしてこう続くのである。

働くアリと働かないアリの差は「腰の重さ」、専門的に言うと「反応閾値」によるという。アリの前に仕事が現れた時、まず最も閾値の低い(腰の軽い)アリが働き始め、次の仕事が現れた時には次に閾値の低いアリが働く、と言う形で、仕事の分担がなされている。仕事が増えたり、最初から働いていたアリが疲れて休むなどして仕事が回ってくると、それまで仕事をしていなかった反応閾値の高い(腰の重い)アリが代わりに働きだす。

「疲労」というものが存在する以上、一見サボっているように見えるアリの存在が、コロニーの存続に大きな役割を果たしている。仮に全てアリが同じ反応閾値だと、すべてのアリが同時に働き始め、短期的には仕事の能率が上がるが、結果として全てのアリが同時に疲れて休むため、長期的には仕事が滞ってコロニーが存続できなくなることがコンピュータシミュレーションの結果から確認されている。閾値によっては一生ほとんど働かない結果となるアリもいるが、そのようなアリがいる一見非効率なシステムがコロニーの存続には必要だという。

ここで言う「アリ」は「人間」に、「アリのコロニー」は会社や組織など「人間のコミュニティ」にたとえられる。ここで言うサボっているのを言いかえれば、予備部隊(交代部隊)や独立要因に当てはまる。ながらく経験則に過ぎなかったが、近年は研究が進んでおり、例えば「働いているアリだけを集めると一部がサボりはじめる」ー

ー昆虫の社会を研究することで、生物のシステムにおける共同の起源に迫ることが期待されている。

【働きアリの法則 Wikipedia】
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/働きアリの法則





そうか。僕は必要な存在だったのか。
ろくに仕事もせず必死で働く妻を横目にダラダラとPUBGをやりながらお菓子をつまむ事に、罪悪感を持つ事が間違っていたんだ。

「…そうかも知れない。」

みるみる自信が湧いてくる僕に呆れて物も言えない家族たち。

結局この会議はここで終わらざるを得なくなり本題の空いた穴を埋められないまま終了。

しかし僕は余生に明確な目標を持つ事が出来たのだ。
その瞬間、何年か前に自分に掲げた「もう努力しない」というスローガンもなんだか急に魅力的な雰囲気を醸し出してきたではないか。

話す前にあった後ろめたい気持ちも今はどこかへ旅立つ準備をしている。

(今日話せて良かった。)

家族会議をしながら熱い鉄板の上で無意識に切り取って食べていたお好み焼きも、ふと見ると背中を押すようにグッドボタンを押してくれていたのだ。
いざ新たな人生の第一歩を。