西の空港で、出国に待ったをかけられたペニンシュラ人がいた。
詐欺で指名手配されていたのである。
が、不思議なことが起こる。
ペニンシュラ人は待ったを聞かずに飛行機に搭乗した。
飛行機は止まることなく出航する。
指名手配犯が、すんなりと母国に帰れた。日本人から騙した金を持ったまま。
かなり昔の、今でも未解決事件の筆頭に出てくる東京の一家殺人事件も、極めて奇妙なものだった。
容疑者の血液型だけでなく、母型のミトコンドリアタイプ、父型のY染色体ハプログループまで分かっていた。
いや、容疑者なら名前まで分かっていた。
が、容疑者はすでにペニンシュラへと帰ってしまっていた。
日本人殺害は良いこととしてブロマイドまで出す国は、容疑者逮捕や移送には協力しない。
そんな事件があった。
有力情報提供者には賞金!のポスターが白々しい。