その出張鑑定とかは、だいたいが体育館か公民館で行われる。
が、第三のオヤジの住む町は知名度はあったが、ろくな体育館も公民館もなかった。
で、珍しく出張鑑定が、そのオヤジの敷地内で行われた。
名前は知られてはいるが、オヤジの家にしてはひどく貧相な作品を出していたので、不思議に思っていた。
昨日、思い切って聞いてみた。
なんと、ちゃんとした段取りがあり、その作品を出さざるを得なかったのだという。
20万円とかの鑑定になったが、桁違いのものがあることは、私でも知っていた。
が、長年の疑問が、やっと解けた。
かなり昔のことだが、部屋いっぱいのお宝がやられたこともあるらしい。
これには、私の知っている方が関係しているらしく、ショッキングな話であった。
家に帰ってからは、そのオヤジと弟の間で、実物を前に技術話に花が咲く。
全くの門外漢の私にも、多少は分かるものもあったが、ついていけない。
今や風来坊の明日をも知れぬ私で、ある方からは皮肉に近い言葉ももらったが、小学生の時に弟に実家を託すとした私の決断は、正しかったとしておこう。

つい愚痴が出そうになったが、我慢する。
まあ、世の中いろいろあるさ。
看板番組での顔だった石坂さんや、佐賀の得体の知れない世界一になった美女の顔が一瞬頭をよぎった。

羽田さんは秦さんで、海部さんは宗像さんだわな。
そんなことも浮かんできた。

まあ、平衡感覚が壊れた吉外のぼやきではあるがね。

第三のオヤジの父親が亡くなった時は、風呂さえない日が射すことのない部屋に下宿していたが、それなりの風貌の汚い服を着たあんちゃんが下宿に死を伝えに来てくれた。
この話は奇妙で、親戚一同依頼した者はなかったらしい。
あのあんちゃんは、なんだったのだろう。
疑問が、まだまだ続く。