最近は顔を見せない。
せっかく猫パンチ仲間を集めたのに、残念である。

ジジイはよく縁側に座り、黄金蝙蝠をくわえながら、『どうも、チュウトハンパだなあ』とかぼやいていた。
祖父の主だった、棗早石器先生によれば、『半熟卵』とは、2個のうち1個は生卵で、残り1個は煮卵のことである。
しからば、『チュウトハンパ』とは、鼠とあやつのことだろう。
鼠と半羽。

どっちも吾が輩の追いかけ相手だが。
後のやつは、追いかけるとすぐに水に逃げる。

猫世界のルール、つまりピンチに吾が輩が苦手とする水への逃亡はよしてほしい。
すべての猫は、動くものを追いかける権利をようする、という猫権の自由を無視するものだ。
ところで、あの老いぼれがチュウトハンパと呟いていたのは、私の好物の鯛のことらしい。
鯛は吾が輩らは、そのまま食す。
が、不器用な人間たちは、切り身にして生姜醤油にしたり、塩焼きにしたりする。
ところが、知人にマタタビソースにイヌハッカをつけて食べたやつがいるらしい。
ドリアンを酒の肴にするのと同様、これは違法である。
少なくとも猫界では。
嫌いな相手だったが、忠告した。と、こんな例もあると、北の部族に伝わるマタタビ三昧 を出した。
が、今度は、またまたイヌハッカ漬けサルナシの記事を出す。
もうご勝手にと、あのジジイは首を何度も横に振っていたらしい。
いくら亡者脳とはいえ、少しは猫の言うことも聞くべきだ。
どうも、そんな話らしい。

鯛世界では、違法者が殴られ土下座したりする映像がある。
例のジジイは、改めてため息をついた。

