いつもは覗き専門にしている野草写真家さんが、名前は珍しい草花をアップされていた。
ママコノシリヌグイ(継子の尻ぬぐい)という、痛々しい名前のやつだ。
名前は珍しいが、田舎なら比較的よく見る草といってよい。
この草は、ソバの仲間で、蓼食う虫も好き好きの蓼科植物だ。
ところで、ママコノシリヌグイは、鍋島藩などでは ヨメノシリヌグイ(嫁の尻ぬぐい)と呼ぶ地方があり、虐待対象が異なる。
朝鮮出兵で半島に渡った鍋島藩(当時は肥前)兵士が、朝鮮半島で教えてもらった名前だろう。
とにかく、悲惨な名前だ。
ハキダメギクのような、牧野先生に文句を言いたい名前もあるが、ヨメノシリヌグイあるいはママコノシリヌグイには悲惨さ・残虐さで遠く及ばない。
これは、一見柔らかそうな葉をしているが、細かいトゲが無数にあり、いじめに最適な草だったのだろう(昔は尻を手または草のは、などで拭いていた。中国の地方では今でもそうである)。
また、120億年生きる予定の素晴らしい物理学者は、危ない花を天ぷらにしようとしていた。
この花はキダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)というが、原産地は朝鮮ではなくアメリカ大陸熱帯部だ。
日本の園芸店では、エンジェルス・トランペットの名前で流通している。
私が都会に住んで驚いたのは、これの遠縁のヨウシュチョウセンアサガオが空き地にたくさん生えていたことだ。
たぶん江戸時代、小石川あたりから広がったものだろう。
これは薬にもなるが、素人が使ったら毒になる草でもある。
かつて華岡青州が世界初と言われる乳癌摘出手術をした際、やはりインカやマヤに次いで世界最初の方で使われた全身麻酔薬は、これを主に使った。
ただし、素人がいじると麻酔薬どころか殺人薬にもなりうる。
ごく最近、昔から恐れていた事件があった。
警察などは、あるいはマスコミなどは、アサガオとしか書いていなかったが、マニアや私のような暇人なら、たぶんあれだなと予想がついた。
こやつは、なかなか怖いやつである。
ママコノシリヌグイほどでないが、全草に細かいトゲがあり、全草毒ときている。
皮膚の弱い人だと、触れただけで痒くなるかも知れない。
麻酔薬実験のモルモットとなった母は死に、妻は盲目になっている。
しかし、これなどはまだ可愛い方かも知れない。
毒のある植物としては、植物で唯一劇物のシキミ、アイヌ時代から使われていたトリカブトなどは有名だ。
が、都会ではもっと身近に大量にある 毒のある木もある。
牛さえ数枚葉をたべてしまい、10頭くらい亡くなった記録もある。
西洋では、バーベキューの串に使って死亡した人もいる。
が、それほど毒が強いから虫がほとんどつかない。
排気ガスにも強く、どうも放射線にも強いらしい。
そのためか、日本では街路樹どころか公園でもよく見る。
皇居東御苑でさえ、2本くらい生えている。
危険性を知った自治体は、植栽禁止にしたが、すぐ解除したこともあった。
なんらかの圧力があったのかも知れない。
葉は竹に似て桃に似た花がさくことから、この植物は
莢竹桃(キョウチクトウ)と呼ばれている。
枯れ木でも1年は毒が残るとされ、枯れ枝を燃した煙や灰も危ない。
都会人のアレルギーは、実はこれが関わっていると考えている。