【記憶】せんべい | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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せんべいは分校からやって来た子で中学生になって初めて知った子だったが、小学校に入る前の私の写真を持っていた。

今では問題になるのだろうが、親父は私が小学生になる前まで家庭教師をして家計を支えていた。

田舎ではよくあるパターンで、私が嫌々通っていたピアノの先生なども同じことをしていた。

私の記憶に残るか残らない時代に、せんべいの姉が教えてもらいにやって来た時に撮られた写真だった。


せんべいは田舎ではなかなかの発展家であり、算盤などよりかなり派手だったとも言えた。
算盤もかなりの方だったが。
ひとつ年上とかなりの関係になり、チュッチュッしているところを見つかり先輩らに叱られたりもしていた。

その彼に呼び出されたことがある。
まだお礼参りということがあったり、公開喧嘩があったりした時だから、いささか焦った。

が、杞憂だった。
彼が言うには、せんべいがお前の話ばかりするが、どういう関係なんだ?というだけだった。

いや、何でもない。
だいたい興味はないよということで終わった。


後にせんべいは、今やある分野では世界的な活躍をしている悪友に好かれたりし、私が多少仲をとりもったりもした。

悪友とは、あのイグノーベル賞級のエプロン姉さん事件後もしばらく連絡をしたりしたが、最近は交流がとだえている。




大学の夏休み。
田舎に帰った私は、本屋で偶然せんべいに会った。

なんと彼女は、私が近づいても話題になったHow to s……を閉じようとせず、むしろ私に気づいてから、より大胆なページめくりをし始めた。




かなりの年上と結婚させられそうだと言う。


ここから後が、どうしても思い出せない。







皆にせんべいとバカにされていたものが、異様に膨らんでいた気はするのだが。


記憶が薄れるということもあるのだなあ。