最近はユネスコの世界遺産はよく知られるようになってきたが、このユネスコ世界遺産を作るきっかけになったのがエジプトのアブシンベル神殿だ。
アブシンベル神殿とは、紀元前13世紀頃に造られた壮大な神殿で、その時のファラオはエジプト史上最強にして最長寿をまっとうしたラムセス2世だ。
この神殿がアスワン・ハイ・ダム建設で水没してしまう。
それは人類にとって多大な損出だ。これを水没しない所へ移動しよう。
そんなことからできた機関が、国際連合ユネスコの世界遺産である。
この移動には、現在の価値で300~500億円を費やしたとされる。
さて、この壮大な神殿の建設者であるラムセス2世は、アブシンベル神殿はじめ多くの神殿を造ったエジプト最強の王としてだけでなく、現在もミイラが存在することでも有名だ。
そのDNAを調べたところ、Y染色体ハプログループはオバマ大統領と同じであるらしい。
このラムセス2世に関しては、ヨーロッパなどでは信じられているもう一つの有名なエピソードがある。
それは、この王のいるエジプトから奴隷だったユダヤ人を率いてエクソダス(出エジプト)をしたのが、モーゼだという話である。
モーゼとは、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の共通の聖書である旧約聖書にでてくる伝説上の(もちろん上記3宗教では実在したとされる)人物だ。
本来ユダヤ人の長子は生まれてすぐに殺さねばならなかったが、姉ミリアムの知恵で一度捨て王家の娘に拾われるようにして、やがて王家の養子となった人物だ。
この男がやがて、奴隷だったユダヤ人を率いてエジプトを出、現在のイスラエルあたりまで連れてくることになる。
(ミリアムはマリアのモチーフとも言われる)
日本語ではモーゼとかモーセと訳されるが、これは少し音が違う。
משה マシャ
に近い音だ。
このマシャは、猛者(モサ)や武者(ムシャ)に通じるものがある。
日本の武者が最も信仰した神は、先日述べたヤハダ神だが、これは説明した通りヤェフダ、つまりユダの神である。
また、武者には男子を一度捨てて拾わせるという儀式があった。
これも、モーゼの故事に似ている。
勝鬨の声である、エイエイオーは יהוה ヤッハッウェー(ユダの神)
にも似ているし、山に登った時のヤッホーにも似ている。
話を戻そう。
このモーゼに関しては、『十戒』という20世紀を代表する映画もある。
最近、新バージョンができたらしく、日本でも公開されているかもしれない。
なお、ラムセス2世とモーゼを結び付ける説には、私は否定的だ。
理由を述べると長くなるので割愛するが、万が一モーゼの故事が事実なら、それはラムセス2世より100年位前の、日本ではツタンカーメンで知られる王の父王の時代だったろう。
★備考;出エジプトを記念する決まり
(ユダヤ最大の祭りである過ぎ越し祭りの掟)
モーゼの出エジプトの記憶を忘れないために、酵母を入れないパンであるマッツァ(餅)を食べ、奴隷の苦味を忘れないために苦菜を食べ(七草粥)、荒ぶる神が通り過ぎるのを赤く塗られた戸の中で過ごし(赤い鳥居に参拝)、家族がみな一堂に会し(正月に帰省)、それらの証拠を残さぬため14日目にはすべて焼き払い(どんと焼き)、ラビのほら貝で(正月の天狗のほら貝)進み祝うのだ。
この決まりは、ずっと続けなければならない。