【植物よもやま話】宵待草とか紫式部とか | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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あるブロガーさんのところで、宵待草の話が出ていた。

実は宵待草という植物はないのだが、イメージの中には存在する。

歌謡などには、いやいや園芸店でさえ、実は本来の植物名(和名=日本語の名前)とは違ったものが売られていたり、wikiなどインターネット辞書、あるいはテレビ番組などでは、時々正確ではない説明があったりする。
そんなものを、思いつくままに並べてみよう。


★宵待草
歌謡の宵待草は、おそらくオオマツヨイグサだろう。
現在日本の山野に多く見られるものは、私の感覚ではこのマツヨイグサの仲間は、
オオマツヨイグサ
メマツヨイグサ
コマツヨイグサ
など、マツヨイグサの名前の前に何らかの言葉が付くものが、全体の99.9%以上を占めている。

ごく稀に、前に何も付かない、いわゆるマツヨイグサを見かけるが、私の経験では1000本に1本あるかないかだ。
これらマツヨイグサと名前がつく花は、黄色である。
なお、宵待草をツキミソウとしたり、ツキミソウとマツヨイグサの仲間を混同している説明を見かけることがある。
が、ツキミソウとマツヨイグサ類は別物だ。
ツキミソウは、現在の日本では野生ではまず見られない。 野生種は絶滅してしまったと言われているからだ。
なお、ツキミソウは純白の花である。
園芸店などで売っている、ピンクがかったものをツキミソウとして販売していたりするが、これはヒルザキツキミソウとかモモイロヒルザキツキミソウとかいう類いの植物で、名前のように昼間も花を咲かせており極めて繁殖力が強く、千葉ではあちこちで野生化している。
このあたりの説明は、Wikipediaを流し読みしてしまうと誤解しやすい。

ツキミソウは夕方に白い花が咲き、朝にはしぼんでしまう。
私は、写真でしかツキミソウを見たことがない。



★ムラサキシキブ
野山にはまだ見られるが、園芸店などで販売しているものは、ほとんど全てコムラサキである。
ムラサキシキブは実がまばらなため、見た目はコムラサキに劣る。
花芽の付き方が違うので、これでも判別は可能だ。
私としては、いささか野暮ったいムラサキシキブのが好きである。



★ナルコユリ
山奥の園芸店はさておき、街中で売られている大多数はナルコユリではなく、アマドコロである。
茎の形や花の付き方で判別は可能だ。
が、だいたい園芸店にあるものはアマドコロだと考えてよい。



★ホトケノザ(春の七草のホトケノザ)
和名がホトケノザという植物は二種類ある。
一つは紫の花を付けるシソ科植物で、これは人が食用とするのには適さない。
もう一つのホトケノザは、タンポポを小さくしたようなキク科植物で、一般にはコオニタビラコという。
これが春の七草のホトケノザだ。
しかし、スーパーなどの七草粥セットにホトケノザ(コオニタビラコ)が入っていることは稀である。
私の経験では、似た植物でごまかしている場合がほとんどだった。



★ワスレナグサ
園芸店で販売しているものは、ワスレナグサより花びらが大きく色鮮やかな品種改良種が多いと思われる。
なお、ワスレグサという植物もあるが、これはニッコウキスゲの仲間。つまり、ユリの親戚でワスレナグサとは全く違う。

さらに付け加えれば、このワスレグサの仲間を園芸店やインターネット辞書などではヘメロカリスと呼んでいる。
これは実に奇妙な話で、ヘメロカリスというのはカンゾウの仲間全体を指すラテン語を英語または日本語ローマ字読みしたものであり、植物名ではない。
が、現在の日本ではヘメロカリスは立派な植物名になっている。

カタカナだから違和感がないが、日本語で考えるとライオンやトラを猫と呼んでいるに等しい。

こうした言葉の使い方のいい加減さも、日本語の特徴と言えるだろう。


しっかし、インターネット辞書はなかなか厄介です。
動植物などは比較的誤りが少ないと思っていますが、これを頼りに知識を増やそうとすると結構間違って覚えたりします。

インターネットで出てくる画像ほどはひどくありませんがね。