マッキンリー
私が新入社員として入った会社は、世の中の変人を集めているような側面もあった。
だからこそ、サラリーマンには程遠い性格だった、バカな私も入社できた。
その会社に、人はいいが、ほとんど仕事のできない人物が、アルバイトで働いていたらしい。
私は直接お会いしたことはないが、先輩などには知っている人もちらほらいらした。
また、ある先輩などは、その変人の伝記的映画に実際に登場したりもしている。
その、仕事がまるで駄目だった人間こそ、植村直己。
世界的に知られる登山家である。
植村直己は、こんな偉大な業績を残している。
・世界初;五大陸最高峰登頂
・単独北極圏到達
・世界初;冬季単独マッキンリー登頂
こうした業績から、イギリス王室など多くの国々からは、早くからその栄誉をたたえる賞を贈られたりしている。
日本では、本人はそれを知ることはなくあちらに行ってしまったが、国民栄誉賞も受賞している。
その植村が世界で初めて冬季の登頂に成功したものの、下山時に遭難してしまったのが、このマッキンリーである。
北極圏にあるこの山は、高度こそ6000m程度とヒマラヤの山々から比べたなら見劣りするが、アラスカという場所を考えると、冬季単独登頂はエベレスト大団体シェルパ頼り登山などよりは、はるかに登頂が難しい山だろう。
植村直己には会ったことがないが、上述したような理由もあり、なんとなく身近に感じる。
私も社員研修の時に、植村がバイトをしていた仕事をしたことがあるが、やっぱり仕事下手で毎日叱られ笑われていた。
★データ
マッキンリー (デナリ;デナッイア語で偉大なもの) 標高6,168m程度 北米大陸最高峰
アメリカ合衆国・アラスカ
世界最高比高=麓からの高度差 5,500m(参考;エベレストの3,700mより1,800m大きい)
記録された最低気温 -73.7度 (参考;ドライアイス-79度)