その国はもともと男王を立てていて、7,80年を経過した。
が、戦いが止まずに倭国は長らく乱れていたようだ。
それで、各国は女子を統一王として立てることにしたらしい。
これを卑弥呼という。
おっと、勘違いするなよ。卑弥呼というのは女王の名前じゃない。
日本は言霊の国。人の名前には霊が宿るとされていたから、名前などはめったに口にしない。
ましてや、女王の名前など冗談にも語るはずがない。
呪い殺されかねないからだ。当時の最先端科学では、そういうことになる。
古文を学べばわかるじゃろう。
古代において名前を名のるのは、妻を求める時と受け入れる時ぐらい。
だから、日本では人物を名前ではなく役職などで呼ぶことが当たり前だった。
いや、今だってそうだ。
天皇の名前を会話に用いるような人は、だいたいが純粋な日本人ではないだろう。
それに、天皇の苗字は、いまだに明かされない。
日本には、今なお言霊精神が生きているんじゃよ。
さて、卑弥呼だが、鬼道につかえてよく民衆をまどわした。
おお、これも説明が必要かな。
鬼道とは、悪魔の使いということではないぞ。
むしろ逆で、神に仕える巫女のようなものをいう。
だから、卑弥呼(ひみこ)とは姫巫女(ひめみこ)だろうという説もある。
それから、衆をまどわすというのも勘違いするなよ。
当時のまどわすとは、現在とはまったく逆の意味だ。つまりよく導いたということだ。
これに似たことは、現在の大陸でもある。
日本人が「迷」という漢字から受ける印象と、大陸でのイメージは微妙に異なる。
あちらでは「迷」はむしろ、迷わせるほど素晴らしいとの意味もある。
鬼道に通じていて、よく民衆をまどわした。
雰囲気は、大体つかめたかな?
つまり、世間で卑弥呼はだれだ?とか騒いだり、断定したりするのはあまり意味がない。
卑弥呼とは、役職名のようなものだから。
ほら、紫式部にしろ、清少納言にしろ、名前じゃないだろ。もっとも、最近は名前として教えているが。
こう考えると、卑弥呼が名前である可能性は、1%よりもはるかに少ないさ。
