【酸苦朱話】常識か?非常識か? ①食事 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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「ご馳走さま」
私は出た料理を、米粒ひとつ残さず食べた。
それが、食べ物となってくれた生き物たちと料理人に対する、最低限の感謝の気持ちだと思ったからだ。


しかし、私はたいへん軽蔑され、怒りをかうことになる。

階層意識が高いその地では、出た料理を綺麗に食べてしまうことは、極めて下層階級のすることであった。
同時に、まだ料理が足りないという意思を表すものであり、招いた主人ならびに料理人への最大の侮辱だった。

出た料理は、下層階級へ分け与える分を必ず残す。
招いた主人に対し、十分な料理をいただいたと分かるように、料理は多めに残す。
これが、その国の常識であった。



出た料理を綺麗に食べてしまった私は、ひどく無礼で非常識な、たいへん下層階級にあたる人間だということになった。




少なくともその地では、私の常識が間違っていたらしい。