世界に伝わる神話・民話の類いのいくつかには、禁忌事項、つまりタブーがあり、人がそれを破ってしまうというパターンがある。
その多くは、そのタブー破りによって、それまでの幸せが逃げていくという筋書きである。
一方で、タブーを破って新天地が開けるという話もある。
こうした話を、幸せのためにはタブーを破ってはいけないものなのだ、と捉えると説教話になる。
一方で、タブー破りは人間の性であり仕方のないものだと捉えたり、奨励しているのだと捉えることも可能だ。
このあたりは、読み手しだいなのだろう。
さて、今回からしばらく、そんなタブー破りの話を見ていってみよう。
ただし、どう捉えるかは文字にはしない。
そんな話がある。
それだけを列挙していこう。
捉え方は、読み手しだいなのだから。
第1回の今回は、日本の民話からだ。
★鶴女房伝説
・男が困っている鶴を助ける。
・鶴が女に化けて男を訪ね結ばれる。
・しばらくは幸せな日々が続く。
・男は、機織りの際に姿を見てはならぬという女との約束を破ってしまう。
・女は消え、幸せも去っていく。
★浦島物語
・男が、困っている亀を助ける。
・亀はお礼に、男を竜宮城に連れて行き乙姫に会わせる。男はしばし、幸せな日々を送る。
・男が故郷に帰る時に、乙姫は開けてはならぬという箱を渡す。
・故郷に帰った男は、乙姫の忠告を破り箱を開けてしまう。
・男はとたんに老人になってしまう。
★雪女
・男が雪山で美女に会ったが、けして女を見たことを口外せぬよう忠告される。
・男の元に、普通の女に化けた雪女がやって来て、ふたりは結ばれる。
・幸せな日々が続いたが、ある夜男は雪女に会った話を女にしてしまう。
・女は正体を現し、男のもとを去っていく。
★蛇旦那伝説
・女の家に、夜中にだけやって来る高貴そうな男がいる。
・男は、女に自分の姿を見てはならぬと警告し、暗闇での逢瀬が続く。
・女の親(または親戚)が身元を確かめようと、女に悪知恵を授ける。
・男の正体が蛇であることが分かる。
・男は二度と、女のところには現れなくなってしまう。
実は、こうした話は世界中にある。
それらは、次回紹介する予定だ。
(ただし、次回が明日になるか、来月になるかは定かではないが)