
私はタイ料理派
日本とは、ごく一部の方を除き宗教による縛りがないことでも分かるように、非常にゆるりとした国である。
また、言語もあちこちのものを無分別に取り入れてしまう。
このあたりは、フランスとは全く違う。フランスなどでは、例えばアナウンサーが勝手に輸入言葉を使ったら罰金ものだ。
同様に、料理に関しても実にいいかげんだ。
マレー・ジャワ料理のミーゴレンがタイ料理の中に座っていたり、インドカレーという名前の日本式カレーは、すっかり定着している。
こうしたいい加減さは、インターネット辞書の世界にも蔓延している。
これはコメントのやり取りをしていて出てきたのだが、インターネット検索などでは、下のような花を咲かせるものを『オガタマノキ』などと呼ぶことがある。

あるいは、園芸店でさえ『オガタマ』と言って販売したり、公園の看板にも『オガタマノキ』などと堂々と記されている場合もある。
が、これは江戸時代に入ってきたカラタネオガタマだ。
古事記に出てくるオガタマノキ(招霊木)は、純白の花で、花径はカラタネオガタマ(唐種招霊)の3~5倍ある。
また、カラタネオガタマがせいぜい5メートルくらいまでしかならない低木だが、オガタマノキは20メートルにもなる高木だ。

オガタマノキ
モクレンのような花で、純白。中央のみ濃い紫色になる。
これは名前の間違いだが、名前でないものを名前とあやまって使っていたり、辞書に載せていたりするものもある。
例えば、下のような花をヘメロカリスとかいうやつだ。

ただ、植物は馴染みがないかも知れないので、その奇妙さが分からないかも知れない。
これを動物にたとえると、その奇妙さがよく分かる。
ライオンを見た大人がヒョウだといったり、トラを見た大人がヒョウだと言っていることに同じだ。
つまり、ライオンもトラも確かにヒョウの仲間ではあるが、ヒョウとは呼ばない。
しかし、インターネットや園芸界での植物になると、この常識はあてはまらない。
だから、あちこちで、オギザリスだのヒペリカムだのという、ラテン語を英語読みして日本語にした変な発音の植物名があふれることになる。
このあたりはもっと奇妙な笑い話もあるが、多少細かい内容なので省略するが、とにかくいい加減なものを結構見かける。
しかし、こうしたことは、料理や草花に限らないようだ。
日本大嫌いなはずの方たちが、海外では率先して寿司屋に集い、『日本式マッーサージ』なる店を出したり、場合によっては旭日旗を立てて客の呼び込みやら、オモチャ・マンガを売っているとも聞く。
このあたりは、私の頭では理解はできても納得はいかない。
ワタシハニホンジンデス
という日本人ではなさそうな方を見た経験は、私にもある。