実は、私とシャガールのお付き合いは長い。
と言っても、シャガールに会ったこともなければ、話をしたこともない。あくまでも、自分の中だけでのお付き合いである。
シャガールが好きになったのは、高校1年か2年の頃だ。 皆が受験勉強に明け暮れている頃、私は粘土こねから油いじりに移った。
お年玉の大半がキャンバス代と油代になった。
高2か高3の時だった。
地元新聞社で学校紹介コーナーがあり、母校の番になり私の絵が紹介の最初の段を飾った。
それは今考えると、どうみてもピカソとシャガールを合体させたコピー画だった。
が、このヘンテコな絵は結構話題になったようで、他校に行った仲間からも「おめえは変な絵描くんだな」と誉め言葉(?)をいただいた。
また、近所の人たちからも「Oちゃん(私の愛称)よー。さっぱりわがんね絵だべよ」 と絶賛(?)された。
とにかく、高3の2学期あたりまでは、私は本気で美大系に行くことを考えていた。
が、自分の能力不足に気付き進路を変えた。

が、シャガールへの思いはかなり長く続いていた気がする。
大学に入ってからも、たまたまシャガール好きな女性がいて話がはずんだが、彼女には決まった男がいた。
だいたい、二十歳を過ぎてシャガールが好きなような男は、幼いか純情なのだろう。

フランスに滞在していた時には、グルノーブルに行きシャガールを直にみた。
やっぱりすごいとは思ったが、昔の純粋さが薄れていた私には、いささか軽く感じられてしまったのは仕方があるまい。

ただ、年を取って、また見方が変わってきた。
シャガールの民族、宗教に関わる知識を少し理解してきたから、多分、また見方が変わってきたのだろう。

私が好きな音楽はチゴイネル・ワイゼンだが、シャガールの絵にはそれに似た音色を感じるこの頃である。
ナツロウバイ



原産地の中国浙江では、絶滅危惧種。
日本で繁殖が進んでいるが、まだあまり目にしない植物だ。