
(アケボノツツジか?)
昔は、ミトコンドリア・イブに代表されるように、ミトコンドリアの遺伝子を追う研究が盛んでした。が、今は長期分析には別のものが適しているとわかり、現在の研究はミトコンドリアから変わりつつあるようです。
その代表がY染色体です。
Y染色体とは男性にのみ存在する染色体ですが、この中のある部分に特徴があり、大まかには5種類、さらに細かくは20種類、より細かくは数十種類に分けられるでしょうか。
まず、あらい区分から見ていきます。
人類は東アフリカ、今のソマリアあたりで誕生したと考えられていますが、人類5系統のうち、3系統だけがアフリカを出て全世界に広がっていきました。
ところが、ヨーロッパやインド、中国などでは最低1系統は消えてしまって、3系統を残していることはほとんどありません。
ところが、なんと世界で唯一日本人だけが、高い比率で3系統すべてをもつ、また独自のパターンを持つ、DNA的に特殊な民族です。
ですから、日本列島は、アフリカから出た民族が再度出会った場所ともいえます。
また、D系統というものに注目すると、
アイヌ 88%
本州 33~48%(新潟県が高い)
四国 26%
九州 28%
沖縄 39%
八重山 4%
などとなっています。
全世界でこのD系統を持つ民族は限られており、下記以外はほとんど0%です。
チベット族 49%
イー族 16%
ミャオ族 7%
ホイ族 6%
トゥチャ族 3%
ベトナム 3%
マレー 3%
ヤオ族 2%
モンゴル 1%
なお、さらに詳しく見ると、日本人はD2系統と呼ばれる特殊なパターンを持っています。
この比率を詳しく見てみましょう。
D2系統分布
アイヌ 88%
青森 39%
新潟 48%
東京 40%
静岡 33%
徳島 26%
九州 28%
沖縄 39%
八重山 4%
漢人 0%
チベット族 0%
朝鮮族 0%
満州族 0%
オロチョン族 0%
モンゴル族 0%
ミャオ族 0%
イー族 0%
トゥチャ族 0%
ベトナム 0%
マレー 0%
参考文献
昭和堂 崎谷満著
『DNAでたどる日本人10万年の旅』
ISBN978-4-8122-0753-6

(サギゴケ)
★追記
なお、Wikipediaの記述ではあるがソースが明示されているデータによれば、
フィリピン・マクタン島
グアム島
などでも、高い比率の特殊なD系統遺伝子が見つかっているようである。
また、上記の著者によれば、かつては東アジア全体にD系統民族が住んでいたが、後にO系統により追い出され、東の日本と西のチベットに分かれてしまったのではないかと推察しており、これは私の勘推論に近い。
さて、こうしたDNAから見た日本人は、どのルートで日本にやって来たのか。
これは、また別の機会にしよう。