静まりかえった館内に、甲高い声が響いた。
「いや、こちらは海外にあるものでして、お取り寄せは……。」
「そんなことを言ってるんじゃない!あんたは無いと言った。でもほら、ゴルタ国ポチョムキムキン図書館には有るだろうが!それとも、このインターネット情報は嘘なんかい!」
「はあ。あのう。うちではお取り寄せできかねるので……。」
「バカヤロウ!まだ、わかんないのか。俺はな、有るか無いかを聞いたんだ。ここにあるとか、取り寄せられるかなんかを聞いてない。お前は、日本語が分かるのか!」
「申し訳ございません。私は、ここに有るかどうかと勘違いしておりました」
「まったく、役に立たねえ野郎だ!ちゃんと、人の話を聞け」
「はい。申し訳ございませんでした」
私よりは若そうな人に見えた。
でも、図書館でこれあるって訊かれたら、私もやっぱりその図書館にあるかどうかを答えるな。
図書館員が気の毒になった。
※国名や図書館名などは、架空のものに変えてあります。
