信頼性に疑問がありますが、参考写真は最後にまとめて添付します。
というのは、この大躍進政策が始まった1958年から1960年の間は、ほとんど情報がなく、中国近代歴史解説でさえ削除、または改変されていて、大躍進政策自体の記載がない場合があるからです。
これは、文革よりさらに外部に情報が流れない時代だったため、神様級である毛沢東の大失策自体を、歴史から消してしまいたいからかもしれません。
近代歴史解説などを見ると、異常気象などで未曾有の被害が出たなどと、大躍進政策の名前さえ出さずに、大きな犠牲者を自然災害の犠牲者としているものさえあります。
………………………………
1966年から始まる文革の話に入る前に、なぜ文革なるバカげたものが始まったのかを考える。
時はすこし遡り、1958年のこと。
第二次世界大戦の爪痕も癒え始め、資本主義国は順調に復興と発展をする兆しが見えてきた。
そんな時、同じ共産主義のライバルであるソ連(現在のロシアやウクライナ、カザフスタンなどは、かつてはソ連という1つの国だった)が、15年後にはアメリカの工業生産を抜いて、世界一になると宣言した。
これを聞いた中華人民共和国は、ならば我が国も15年、いや3年で抜いてやろうと大風呂敷を広げた。
これが、数千万人単位の犠牲者を出す、1回目のどうしようもない政策決定の、主な理由だと言われている。
おそらく、こうした理由以外に、ライバルであるソ連の人類初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げ成功や、続くアメリカのエクスプローラ打ち上げ成功などがあり、中共が埋没してしまうのを避けたくもあったのだろう。
この大躍進政策の何がひどいかというと、例えば、製鉄所もないのに鉄鋼を増産しろなどということだ。
しかも、原料となる鉄鉱石すら準備しない。
結局、レンガを重ねてピザ焼き釜のようなストーブのようなものを作り、ここに砂鉄やらを入れて石炭を燃やす。
こんな方法で、工業用鉄鋼ができるはずがない。
結局、くず鉄ばかりができるだけだった。
が、そんなことを幹部に言ったら、自分の命がなくなる。
で、良好な鉄鋼生産品としたうえ、さらに水増しした数字を上に上げる。
と、気をよくした上層部は、さらに増産を葉っぱかけ。
こんな、マンガにもならない政策と作業だ。
そのうち、ストーブ用レンガがなくなってくる。
どうしたかというと、寺院や家を壊してレンガを調達する。
砂鉄も無くなり、生活用品を溶かす。
使いものにならないくず鉄を作るために、重要な家財道具が消えていく。
石炭を燃やすための薪もない。
だから、山々から木を切り出す。
やがて山ははげ山となる。 こうして保水力を失った山は、すぐに崩れ洪水を起こす。
この大躍進政策での伐採による後遺症は、現在もまだ影響を与えている。
これだけで十分悲惨なのに、さらにバカげた政策が追い討ちをかける。
米の生産を上げようと言って、なんと稲籾を食うからという理由で、スズメなどの駆除を始めてしまう。
スズメ1匹いくらで買い取りとかいった資本主義の真似をして、スズメなどを徹底的に駆除した。
結果はお分かりだろう。
スズメがいなくなったために、虫が大発生したのだ。
一部虫なども駆除対象ではあったが、スズメが食べてくれていた虫の量には到底かなわない。
大変な不作となり、場所により全く収穫がない。
また、こんな小学生さえ笑ってしまう政策もある。
ルイセンコ理論(ソ連の著名学者だが、ソルジェニチンなどに作品で罵倒されている。ソルジェニチンはシベリアに強制送還されたが、後にノーベル賞を受賞)に基づき、種を地下1メートルとか2メートルにまく。
芽を出すはずがない。
当然、収穫時には砂漠のような光景が広がる。
伐採による洪水、自然の営み・バランスを無視した軽薄なスズメ駆除。非科学的農業。
これが、未曾有の自然災害の実態だ。
つまり、実は人災である。
3年間に、工業生産増加どころか、全国で餓死者が続出する。
特にチベットなどではひどく、村全員餓死というような地域が多々発生し、チベット民族自体が滅びるおそれが出た。
その他の地域でも、半数以上の犠牲者が出る。
チベット仏教の聖人のひとりパンチェン・ラマは、長い投獄生活の明けた1989年に、共産党の指示に従わず当時の実態を演説。
その5日後に急死する(暗殺説あり)。
3年間におよぶ大躍進政策の餓死者などの犠牲者は、2000万人から5000万人と言われている。
大躍進政策どころか、国が滅びそうになった政策は、1960年に毛沢東が形の上で失脚ということで幕を閉じた。
しかしながら、形は国家主席を降りたが、建国の父のままである。
部下を使って、また表舞台への機会をうかがっていた。
これが、今だに犠牲者の数がわからぬ、さらに悲惨な10年続く文化大革命への入り口だ。
毛側が、表舞台への再登場を狙って敢行したのが、文化大革命だとも言われている。
参考写真
(大本営発表もののフォローが多く、信頼性に疑問あり)

大躍進政策のスタートを報道した、日本の新聞
(東京新聞)

同時に、毛反対派幹部の粛清(最終的には死刑など)を伝える、日本の新聞
(東京新聞)
この数は、1ヶ月間だけの、かつ党幹部などの数であり、党員外の庶民の数は不明。

毛沢東の現場作業を伝える、日本の新聞
(産経新聞)

8年後の文化大革命を予知?した、日本の新聞
(朝日新聞)

林立する、ピザ焼き釜のような鉄鋼工場。

チベットの窮状、弾圧を訴えたパンチェン・ラマに反論を唱え、中共幹部と同じ主張をする、日本の新聞
(朝日新聞)
繰り返すが、この大躍進政策は文化大革命以上に闇の中に葬られようとしている。
なぜかは知らないが、NHK保管庫あたりには、この大躍進政策のスズメ駆除作戦や、粛清の様子を撮影したフィルムがあるはず。