
学校の机の中というより、テーブルの下から大通り、現地人用ホテルのロビーから工場の床まで、つまり、外国人専用ホテル、外国人専用デパート以外(こうした自国民立ち入り禁止の建物が、今もあるかどうかは不明)ならどこにでも落ちているものがあった。
それは、ヒマワリの種の皮である。

ヒマワリの種を奥歯でカリッと割って、中の種を食べるのだ。
これがなかなか難しい。
スイカやカボチャの種なら、皮が硬く水分をはじくから、多少口の中でモゴモゴやっていても、なんとか割れるポイントを見つけ無事種を取り出すことができる。
ただし、スイカやカボチャの種は、塩味を付けてあるものもあり、100グラム10円とか20円とか、かなり高価だった。
だから、庶民がもっぱら楽しむおやつはヒマワリの種だったのである。
現地の人ならヒマワリの種でも、あっという間に割れるポイントを把握して、さっと食事にありつける。 この種の皮をペッと吐き出す。まあ、公共施設内でも唾や痰を吐く文化のあるところだから、ヒマワリの種の皮なら、当然問題がない。
これが、床や道路に散らばるわけだ。
ところで、私などのように不器用だと、歯と舌を使いポイントを探しているうちに、さほど硬くない皮がグニャリとなってくる。
こうなると、パリッと割れずに餌にありつくことが難しくなるのだった。
若い時は、サクランボの紐を舌で結べたこともあったが、どうもこれは苦手だった。

その技術を、実際の舌の動きを観察したり、別の方法で教えてもらおうと考えたこともある。
が、いくら独身で血気盛んな年頃ではあっても、パスポートを取り上げられ、西の砂漠で強制労働させられるのは嫌だなとの思いが、その誘惑を引き留めた。
だから私は、今でもヒマワリの種を食べるのが不得意である。
というか、もう長い間、そのおやつを目にしていない。

ハエとかクモとか、カニさんとかやってるけど、さてどんなもんなのかねえ。
もっと大きなニュースがあるんでないかい。
まっ、報道しない自由でしょうが。