
私は食べてない派
私が都会に出て、カルチャーショックをうけたものがいくつかある。
ひとつ目は、女の子がみな綺麗だということだった。 田舎にいるような、ハナミズタレ子さんがいないのだ。それでもって、モデルさんみたいにツカツカと歩く。がに股はいない。
これは驚いた。
二番目に驚いたのは、とろろ芋だ。
都会で出されたトロロは、私の知らない水っぽい糊のようだった。
とろろ芋というものは、ご飯茶碗を逆さにしても落ちないものなのだ。
が、ありゃ水溶き糊で、味なんざさっぱりない。
私は愕然とした。
食い物が続く。
私は海から離れた山奥に育った。だから最初に先輩がおごってくれた、信じられぬほど美味いカキフライ定食に感動した。
そして、もうひとつ。
それはどんぐりだ。
どんぐりとは、クヌギになるこんなやつ以外ない。

が、なんと都会ではこんなものをどんぐりと呼んでいた。

(コナラ)
これは田舎では、断じてどんぐりではない。
今でもそう思っている。
ひょっとしたら、都会ではこんなものもどんぐりになってしまうのだろうか。

(シロダモ)
このどんぐりカルチャーショックは、まるで現行憲法の第9条第3項か、第115条でも読んだような衝撃であった。