【伊勢神宮式年遷宮特集】八尺鏡(やあたのかがみ) その2 古事記 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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八尺鏡(やあたのかがみ)とは、現在は天皇が引き継ぐ三種の神器のうちのひとつとされるものだ。
現存するものは、古代にあったものではないだろう。
しかし、非常に重要な意味をもつものに変わりはない。

この鏡は、古事記では八尺鏡(やあたのかがみ)となっているが、少し遅れて完成した日本書紀では、尺の字に只を伴い、“やたのかがみ”と呼ばれることが多い。

この鏡が初めて出てくるのは、記紀ともに同じ場面だ。

速須佐之男命(はやすさのをのみこと)の姉である天照大御神(あまてらすおおみかみ)は、弟のあまりのいたずらに怒って、岩戸の中に隠れてしまう。

天照大御神は太陽でもあるので、岩戸に隠れてしまったために、世界が暗闇となってしまった。
困った神々たちは、知恵を絞って天照大御神を岩戸から引き出そうとする。

ここで出てくるのが、件の鏡である。



いささか長いが、この後あたりからプロの訳文を見てみよう。なお、わかりにくい読みや意味は、私がプロの間で語られている一般説を()内に記す。だから、私個人の説は入れない。
入力できない漢字は、当用漢字に変換した。



(参考;講談社学術文庫;古事記・上巻;次田真幸訳)




そのために高天原はすっかり暗くなり、葦原中国(あしはらなかつくに→日本)もすべて暗闇となった。
こうして永遠の暗闇が続いた。 そしてあらゆる邪神の騒ぐ声は、夏の蝿のように世界に満ち、あらゆる禍がいっせいに発生した。
このような状態となったので、ありとあらゆる神々が、天の安河の河原に会合して、タカノムスヒノ神の子オモヒカネノ神に、善後策を考えさせた。そしてまず常夜(とこよ→海の彼方にあるとされた永遠の世界)国の長鳴き鳥を集めて鳴かせ、次に天の安河の川上の堅い岩を取り、天の金山の鉄を採って、鍛治師のアマツマラを捜して、イシコリドメノ命(みこと→尊称)に命じて鏡を作らせ、……


(中略)


……。そして天の香具山の枝葉の繁った賢木(さかき)を、根ごと掘り起こして来て、上の枝に勾玉を通した長い玉の緒を懸け、中の枝に八尺鏡を懸け、下の枝に楮(こうぞ)の白い布巾(ひれ)と麻の青い布巾を垂れかけて、……。





以上、古事記にある八尺鏡の記述内容である。

今回は現代語訳だが、書き下し文だと、やや難しいがなかなか面白い。

さらに難度は上がるが、漢字だけの写本は、読み方は分からなくとも、かなり楽しめる。



さて、次回は日本書紀の記述を見てみたい。



つづく


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※写真は、本文に出てくる鏡ではありません。