昨日あたりインドが、中国全土を射程圏内に捕らえることができる、中距離ミサイルを発射したようだ。
この報道は、なんとかインドと中国を並べて書きたい筆者の意図が見え見えで、いやらしい書き方である。
単に、射程距離何kmと書けばよい。
その話は置いておき、このミサイルの名前に注目してみよう。
このミサイルはアグニという。
アグニとは確かサンスクリット語で火を意味し、ヒンズー教の火神の名前でもある。
アグニ信仰は、インドから東南アジアまで広がっている。
この神の伝説が面白い。
生まれてすぐ、両親を食い殺してしまったというのだ。
さて、気付かれた方もいるだろう。
これに似た神が、日本にもいる。
そう、生まれてすぐにイザナミが亡くなる話だ。
日本では、カグツチという。
カグツチの、ツは「~の」チは霊的存在とすれば、この神の名前はカグであろうか。
サンスクリットのアグニに、日本語に多く使われるk音が接頭に付き母音を付加すると、
agni→k'aguni→kagu
となる。
カグは、富士山の噴煙に関係するカグヤ姫のカグかも知れない。
さらに、
agni→ abni→ abeti→ abeuti
とすると、これはアイヌの火神の名前だ。
ただし、このアイヌの火神はかなりのこじつけである。
より可能性のあるのは、火の共通音として新旧問わず世界の言語に見られるf,p,b音の一種だろう。
特に、apiまたはabiなどのように、f,p,b音に母音が付加され火を意味する言葉は、アジア、ポリネシアなどに見られる。
(日本語は、母音付加されず、ピ、ヒ、ビ)
うる覚えだが、北欧の火だか製鉄だかに関連する神にも、似たような音の神がいたような気がする。
サンスクリット語のagniは、最近の言語であるフランス語のagonieや、英語のangryにも繋がっているかも知れない。
★追記
火について調べるとなかなか興味深い。
例えば、カマドという日本語があるが、このカマは釜ではなく火自身とも考えることもできそうだ。
フィジーなどではkamaは火を意味する。
また、火の燃える様子をメラメラと表現したりするが、インカのケチュア語で火はmamaである。
mamaはb音がm音に変じたものであり、古くはbabaだろう。
つまり、大元は火の世界共通音の変化したものの可能性が高い。
kamaも同様と推測できる。
agniに戻ると、ネパール語やモンゴル語でも、火を表す言葉のひとつにagoがある。
これらは、蝦夷からハワイに至るポリネシアなど広範囲で使われるabi,api等との関係があるだろう。
想像をたくましくすれば、日本語「熱っ」「あちっ」、ルーマニア語ardeもサンスクリット語agniに似ていないでもない。
これら火を意味する各言語は、世界初の文明を築いたメソポタミア・シュメール語のbiに源を求めることも可能だ。
まあ、日本語や西洋各言語、中国語系言語、エジプト語などの場合は、そうした考えよりも、火を起こす時にフッフッと吹いた音からの自然発生だ、と捕らえた方がより可能性が高そうだ。