さて、題名にあるように今日、いやこの記事がアップされるときには昨日となっているが、私がハードパンチを受けたことを綴っていきます。
以下、文体が変わります。
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所用があり儂が家路についたのは、三々五々烏が舞いだす刻限であった。
とはいえ夏至間近、まだまだ日は高い。
きゃつめは昼飯を食ったろうか? それは時々は脳裏を横切っていたのではある。
例のベランダに、やつの姿は見えない。
普段なら、まだ夜勤前の休養をしているはずなのだが……。
あるいは、托はつにでも出かけたのだろうか。
そう思い玄関のドアを開け台所に行く。
冷たい飲み物で喉を労っていると、ふと何らかの視線を感じた。
なんと、ガラス窓の外からじっと凝視している権之介がいるではないか。
その目は多少怒っているようにも見える。
そうか、やはり食い物にありつけなかったのか。私が帰った時には草むらにでも身を潜めていたのだろう。
「おい、ジジイ。昼飯はどうした!」
そんな目をして睨んでいる。
私は冷蔵庫から生肉を取出し、適当な大きさに切って窓を開けた。
うん?窓を開けると、普段なら草むらか柱の陰に飛びのくのに、今日は動かないばかりか、近寄ってきたではないか。
腰を下ろし肉を放り投げようとしたとたんだった。
権之介が目にも止まらぬ早さで飛び込んできたかと思う間もなくだ。
バシッ!
サウスポーから繰り出す鋭いフックが、私の右手首をとらえた。
鋭い爪は皮膚に浅からぬダメージを与える。
うーむ。よほど腹を空かせていたのだろう。
托はつに出たものの大家の娘に手を出した輩だろうから、長屋連中は大家に遠慮して知らぬ顔でもしたに違いあるまい。
昨日までは草むらに隠れて食っていたが、今日はその余裕もなくその場でクチャクチャやっている。
食い終わると、少し後退りした。
私はまた冷蔵庫に向かう。
と、やつは敷居ギリギリまで首を伸ばし、まだまだ足らん!という顔をした。
冷蔵庫から冷凍アジフライを取出す。
衣はまずかろうとよく洗い流し、十分氷が溶けたのを確認してから、また窓に行った。
やつは先の無礼を恥じてか、今度はパンチすることはなかった。
結局、権之介はバラ肉2枚、アジフライ3枚を平らげて、やっと満足気に目を細めたのであった。
しかし、やつのフックはなかなかであった。
葉っぱ道をもってしても、それを避けきれなかったのだから。

ハンゲショウ
白いのは花ではなく葉。