金の卵を産まない鶏 | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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むかーし、むかし。

おじいさんとおばあさんが住んでいました。

おじいさんは山へ薪拾いに、おばあさんは川へ魚釣りに行きました。

おじいさんが山で薪を集めていますと、林の中に青紫に光る大きなほこらを見つけました。

おそるおそる入り口に近づいてみますと、奥の方からコケコッコーという鳴き声が聞こえてきます。
おじいさんは釣りをしていたおばあさんを呼びました。 おじいさんは閉所恐怖症の上、鳥目だったからです。 とにかく暗いところでは何も見えませんし、狭いところにいると息が苦しくなるのです。

おばあさんは、今夜は久しぶりに鳥飯にありつけるぞと、暗さや狭い洞穴をものともせずに奥に足を進めました。

と、目の前がパッと明るくなりました。

なんと、そこには真っ白な鶏がいて、あたりが昼間のように明るいのです。

おばあさんは、これが噂に聞く金の卵を産む鶏だと嬉しくなりました。


外で待っていたおじいさんは、あまりにびっくりして腰を抜かすところでした。
おばあさんが、お天道様の下でも明るく光る鶏を抱えて出てきたからです。



(中略)





鶏は、毎日卵を産んだのですが、それは金ではなくて鉛色をした卵でした。

最初は珍しがって買う村人もいましたが、必ずお腹を壊すというので、今は誰も買いません。

しかも、鶏は畑の芋を食ったりしています。

おじいさんもおばあさんも捕まえて鳥汁にでもしようとしますが、逃げ足が速く捕まりません。

誰も食べない鉛色の卵は腐って、嫌な臭いを撒き散らしています。









そんなわけで、おじいさんもおばあさんもすっかり痩せ細ってしまいました。


振り込め詐欺や、1ヶ月で8キロ痩せるダイエット食品も買わずに、1ヶ月で12キロのダイエットができました。




お金を使わずにダイエット。



めでたし、めでたし。