宗教画の中の植物 ~昨日のつづき | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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以前記事にしましたが、ダ・ヴィンチは『岩窟の聖母』を2つ描いています。

1枚目が、現在ルーヴルにあるこれ。


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ところがこれは当時の宗教界から大変なクレームがあり、再度の書き直しを命じられます。

そんな経緯から書き直して教会に納めたのが、これ。


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構図は一見同じです。
が、絵のタッチ以外に、宗教的には全く異なる絵なのです。

しかしこれを述べると長くなりますから、興味のある方は『ダ・ヴィンチ・コード』を読んでみてください。私も以前概要を記事にしましたが、いつ頃の記事だったか定かではありません。



さて、この2つの絵に描かれている植物も、1作目と2作目では違っています。

まず1作目を詳しく見ていきましょう。


左下にはこんな植物。



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アイリス(イリス)とハナシノブらしい植物。
これは旧約の伝説と密接に関与する可能性があります。

そして右下、オオアマナのすぐ左側にはこれ。


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イワカガミに見えます。右側のオオアマナはイエスにより踏まれてしまっています。

さらに、足のすぐ近くにはガーベラに似た不思議な花があります。

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これらはすべて宗教に密接に関与する植物でしょう。
日本ではこれが“花言葉”のような宗教遊び、占い遊びに変化しました。




では、2作目を見てみましょう。

まずは、左下。


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左端はスイセン。 その右手にはバラの花に似た不思議な植物。


右下はというと、こんな様子。


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アネモネに似た花がポツンと顔を出しています。また、イエスの尻に敷かれていたオオアマナは見えません。


ギリシャ神話をご存知の方ならお分かりと思いますが、スイセンもアネモネも非常に宗教的暗示のある植物です。




ダ・ヴィンチは、1作目を非難されたために、当時の宗教界に、こんな皮肉を描きこんだのかも知れません。