どちらかというと理系の私は、文学作品というものはほとんど読んでいない。
読むのはだいたいSFか、半村良のような伝奇小説、あるいはショートショートの類だった。
が、この『蜜柑』は、たぶん中学か高校の授業で読み、非常に感動をうけた作品だった。
今だと、差別だとのクレームがありそうな表現も多い。が、そんなことよりも、文章のうまさが目立つ。
朗読を聴いてみて、57調が日本人には耳に素直に入ることを再認識する。
たしか、『トロッコ』の最後の方にも、蜜柑が出てきた。
主人公の不安をよそに、蜜柑畑が夕陽に光っているような場面があった気がする。
今夜も、田中弘毅氏の間の取り方を堪能しようかな。

