
さて今宵は、ネズミーランドからネズミが逃げた話の顛末を記してみよう。
この騒動記に入る前に、まずはネズミーランドについてご説明する。
ネズミーランドとはその名の如く、大きな檻の中にたくさんのネズミを飼っている場所だ。
檻の中には水車みたいものが無数にあり、ネズミがその遊具に入り走りだすと、くるくると回りだす。
皆さんもペットショップなどで目にしているであろう、くるくるからから回るアレである。
ネズミは生まれて20日も経てば立派な大人になり、子をもうける。
だから、檻の中の歯車が止まることはない。
ネズミーランドでは、この歯車の回る力で餅つきをしている。できた餅は餌代にかなり上乗せし村中に売っている。
また、ネズミーランド近くの住人には臭い迷惑料を払ってもいるようだ。
このネズミーランドの檻は頑丈で、象が乗っても壊れないとの宣伝文句を使って、あちこちにランドを増やしていった。
事件は意外なことで始まる。
いや、予想はされていたのだが、それを口に出すことはタブーであった。
近くには象園があり、もし象が逃げ出してネズミーランドの檻にやってきたりしたら、それはそれは大変なことになると明言していた者もいるが、ネズミーランドは安全だという神話の前にかき消されていた。
この安全神話が崩れた顛末について、これから気が向いた時に、少しずつ話していこうと思う。
つづく