あんたら暇人を、幸せな気分にしてやったじゃないか。
朝から炊事洗濯、バイトに追われている、さえない毎日に刺激を与えてやったじゃないか。
お前らだって、ピーピーいいながら嬉しそうにしてたじゃないか。
何が悪いんだよ。
いいことしてやったじゃないか。
あんなものはゴミだって、自分だって知ってたんじゃないか? 誰があんなもんを信じるかってんだ。
あんたらは信じたかったんだろうが。自分から飛び込んできたんだろうが。
なんで今さら文句を言ってんだよ。
俺は許さねえからな。
ちっくしょう。
こっちのがいい迷惑だぜ。
あんなゴミくず信じるやつなんかいねえだろうよ。
信じたいっていうから、お前らに付き合ってたんじゃねえか。
俺だって、身体はってお前らに付き合ってやってたんだ。それなりの報酬をもらって何が悪いってんだ。
いいか。この世の中金だぜ。
ああ、金、金、金だ!
誰が好き好んで、お前らみてえなババアに付き合うっていうんだい。
世の中、金、金、金!
そんなの、貧乏人のお前らが一番よく知ってるだろうが。
はあ?
俺が捕まる?
何、悪いことしたっていうんだい?
はあ、言ってみろよ。
俺はな、不満タラタラのお前らを幸せな気分にしてやったんだ。
なんで今さら、文句言ってんだよ。何わめいてんだよ。
泣きてえのはこっちだぜ。
ったく、いい迷惑だぜ。
あの暇人も、へんなジジイも。
しかし、まずい。
風向きがへんだ。
パスポートの期限を調べておくか。


