飲んべえ小説(ただし、半分実話)★ぜ、ぜ、ぜひとも! | しま爺の平成夜話+野草生活日記

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以前記事にしましたが、少しばかり推敲した小説を書いてみますか。

まてよ、酵母菌のオシッコを呑みながらだと、推敲ではなく衰行になってしまうかもしれない。

まっ、いいか。

で、これは小説ですが、5割方事実でごじゃります。



……………

★ぜ、ぜ、ぜひとも!★


ピンポーン、ピンポーン。
また、やって来たぞ。
冷たい雨の中たいへんだなあ。
しかし、必ず子どもかばあちゃんかの二人組。

理由は分かる気もするが、あの足の悪そうなばあちゃんには、このみぞれ空はうらめしかろうに。



ピンポーン。

まだ鳴らしてますなあ。

ありゃりゃ。

今日はいつもと違います。立派な背広着た、見た目紳士お二人のお出ましだ。



「あなたは、★を信じますか?」


「はあ?ガラパゴスですか、それともミドリですか?」


相手はキョトンとしている。



「いや、亀ではなくって…★です」
若い方が気づいたらしい。

還暦を過ぎたと思える方の方が、一見品の良さそうな笑みを浮かべた。


「そうですか。こごんとこ耳がわるぐなっちまったんで」




「そんな方には、ぜひともお聴きいただきたいのです」



「ほう、ほう。★っつうのはなんだべか。あのジーパンみたいな名前のなんとかだべか?」


「?」





「あっ!おお、お詳しい。そうです。ジーパンではなく、ジーザス、はい。すごいですね。そのお名前を知ってらっしゃるとは」




「ほう、つうと★っつうのはそのジーパンだかシーザーの話しっつうわげですか?」




「そうです。ありがたいお言葉です」




「そりゃ、すごいわ。オラもその言葉を、昔っから聞きたかっただよ」




「そうですか、そうですか。では、今からでも▼に参りましょう」



「ちいと、待っててくんなまし。こんな機会は一生に一度あるかどうがだっぺから、辞書とレコーダーを持ってぎますから」




「ハッハッハ。ご心配しなくても大丈夫。難しい話はしませんから辞書とかは必要ありませんよ。それにお望みならばいつでも聞けますから」




「いんや。オラにはむずがしい。まだ、フェートあだりまでしか書げねえし。とても聞き取る自信もねえし」



「???」


「あんれ、やっぱ、フェートあだりまでじゃダメが。ダレットとザイン、ヘットとへーもまぢがっちまうごどあるし」



「???」


「あれま、やっぱりあんまりひどすぎでがすか?」



「あのう。何か勘違いしてませんか?」



「げっ?!で、では、ヘブルではなくアラムなんですか?あれは似てるげど、ながなが日本では辞書が見つかんなぐって、2、300の単語しか知らねえ。そうなっと、昔がらききだがった★の言葉はさっぱりわがんねな」




「あのう。アラム?」

「えっ?まさが、アラムではねぐって、まさがコプトっうごどはねがんべな。そっちはさっぱりわがんね」



「いや、何をおっしゃっているのでしょうや」



「またまたご冗談を。あんだらが★はベツレヘムの方だんべよ。そのおがたがいらっしゃった時代は、シリアが強がったがらアラム語が公用語だったべさ。ほんでもユダの枝がら出だあんだらの★は、おそらぐアラム語だけじゃねぐって、ヘブル語も話してだはずだ。オラ昔っから、あの母音表記の少ねえ言葉を自分の耳で聞きたがっただよ。ほしたら、あんださんが聞かせてくれるっつうがら、もうありがたぐって、ありがたぐって」






「あのう。★の話は日本語ですが」



「まだまだご冗談を。ベツレヘム生まれ育ちの方が、日本語なんか話せっこねえべよ」





「……」



「………ヒソヒソ」




リンリーン、リンリーン。

「あ、あ、はい。すぐ参りますので」





「ご主人様、話の途中で申し訳ございません。急用が入りまして……」



二人はあっという間に、私の視界から消えた。





うーん。残念。


たとえほとんど理解できないアラム語であろうとも、★の言葉とかを聴きたかったのに!





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