
ベータトロン事故は、我々ワシ座太陽系のみならず、水瓶座太陽系にまで影響を与えている。
しかしながら、宇宙連邦政府はいまだに、水瓶座太陽系はおろか、このワシ座太陽系さえもただちに影響がある事故ではないの一点ばりであり、あろうことか事故終息宣言まで出してしまっている。
それだけではない。
連邦政府とベータトロン開発社は、一旦被災地域に与えたエネルギーと食糧を止めたばかりか、先に与えたものまで返還を強制してきた。
これが人類、いや宇宙生命に対するやり方だろうか。
それでいて、ケンタウルス座には、頼まれもしないのに十分過ぎるエネルギーを無償支給しているのだ。
連邦政府は、我々ワシ座太陽系の生命を絶とうとしているのだろうか。
我々は、すべての太陽系生命に平等にエネルギーと食糧を支給するという宣伝文句に騙されたのかも知れない。
あるいは、ワシ座総合ニュースをはじめ、この太陽系にある情報機関にうまく乗せられたのかも知れない。
連邦政府の幹部は、ワシ座太陽系生命に真似たレプリカントだ、とある学者は述べている。
レプリカントかどうかはどうでもよい。
我々の命は明日をもしれない。
次の連邦政府選挙では、間違っても連中には投票するまい。
また、同じような甘言に騙されないようにしよう。
私は8本の腕を組みながら、そう決意した。