あれは夢だったの。
そう、みんな夢の中の話だったんだわ。
手紙にはそう書かれていた。
香深で出会った子だった。
2日目には、スコトン岬から桃岩までの20キロメートルを自然と手を取りながら歩いていた。
今はなくなってしまったが、北海道では最大の銀行の小樽支店に勤めていた子である。
ショートカットの似合う、少しやせがたの透き通るほど白い肌の子だった。
彼女は、私たち同様2人連れだった。
もう1人も同じ銀行に勤める1つ年下で、こちらは長い髪が美しかった。
4、5日を夢の島で過ごした。
別れの日。
私はフェリーの中で、人生の半分の涙を流した。
とあるブロガーさんの貼りつけた映画の予告編を観て、急にそんなことが思い出された。
夢だったんだわ。
名言である。
手を繋いで歩いた程度で何もなかった。
だからこそ、美しい思い出となって残っている。